日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

共著

「なんで、どうやって私は「英語でも」研究をするようになったのか」

シュミット 堀 佐知さん編集の『なんで日本研究するの?』(文学通信)に、私もエッセイを書かせていただきました。題して「なんで、どうやって私は「英語でも」研究をするようになったのか」。大学院を出たころから、英語で日本文学研究を行う学問世界のこ…

Japanophone Poems in Motion: Languagescapes of Itō Hiromi and Tian Yuan

Fechner, Matthias, and Henrieke Stahl, eds. Subjekt und Liminalität in der Gegenwartsliteratur, (Bern, Switzerland: Peter Lang D, 2020) accessed Oct 8, 2020, https://doi.org/10.3726/b17545世界の現代詩を研究するトリア大学(ドイツ)のチーム…

(論文)亡霊と生きよ――戦時・戦後の米国日系移民日本語文学

木越治・勝又基編『怪異を読む・書く』国書刊行会、2018年11月所収、pp.443-461 (要旨)この論考は、米国日系移民の日本語文学を主な検討の対象としながら、亡霊と記憶と文学をめぐって考えたものである。分析の対象とする作品は、戦後の米国日系人が刊行し…

紹介『怪異を読む・書く』、あるいは木越治先生の追想

最近共著として国書刊行会から出版した『怪異を読む・書く』について紹介をしたいのだが、順を追って木越治先生との思い出から書く。本書は、木越先生の古稀記念出版として企画され、そして予想もしなかったご逝去を受けて、御霊前に捧げる追悼論文集となっ…

「ポスト真実」の世界をどう生きるか ウソが罷り通る時代に

小森陽一編著、香山リカ・浜矩子・日比嘉高・西谷修著、新日本出版社、2018年4月20日、221頁。 2017年9月に新宿の朝日カルチャーで行った、小森陽一さんとの対談が書籍化されました。この講座は「ポスト真実」をめぐる連続講座で、コーディネータの小森陽一…

マリヤンの本を追って──帝国の書物ネットワークと空間支配

日比嘉高「マリヤンの本を追って──帝国の書物ネットワークと空間支配」、河野至恩・村井則子編『日本文学の翻訳と流通──近代世界のネットワークへ』勉誠出版、2018年1月12日、pp.243-259 【概要】 第二次世界大戦以前の、内地外地を結んだ書物流通網は、どの…

『連続討議 文系学部解体―大学の未来@横浜国立大学』

室井尚 編、内田樹・吉見俊哉・ハヤシザキカズヒコ・三浦翔・日比嘉高・増田聡・竹下典行・小林哲夫 著『連続討議 文系学部解体―大学の未来@横浜国立大学』読書人eBOOKS 004、読書人、2017年6月15日、電子出版 連続討議 文系学部解体―大学の未来@横浜国立…

オリンピックと帝国のマイノリティ──田中英光「オリンポスの果実」の描く移民地・植民地

細川周平編『日系文化を編み直す──歴史・文芸・接触』ミネルヴァ書房、2017年3月31日所収、pp.287-300 [要旨] この研究では、1932年のロサンゼルス・オリンピックと、それを描いた田中英光「オリンポスの果実」(1940)を分析しながら、1930年代における国際…

憲法判例からみる日本──法×政治×歴史×文化

日本評論社、2016年9月20日。担当・山田哲史との共著「小説はプライバシーを侵害するのか──「宴のあと」事件」pp.1-20 まさか自分がこういうタイトルの本に関わるとは思わなかった!という1冊が出ました。「憲法判例×歴史」研究会の成果をまとめた本です。…

作家/作者とは何か――テクスト・教室・サブカルチャー

共著、2015年11月10日、和泉書院、250頁、日本近代文学会関西支部編、担当「登場人物の類型を通して作者は何を語るか――私小説を起点に」pp.2-14 作家/作者とは何か: テクスト・教室・サブカルチャー作者: 日本近代文学会関西支部出版社/メーカー: 和泉書院発…

 ジブリの森へ 3刷

『増補 ジブリの森へ』がおかげさまで3刷を迎えました。ジブリの森へ―高畑勲・宮崎駿を読む (叢書・「知」の森)作者: 米村みゆき出版社/メーカー: 森話社発売日: 2008/04メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (1件) を見る

私小説ハンドブック

共著 2014年3月14日、勉誠出版、320頁、私小説研究会編、秋山駿・勝又浩監修、担当「日本語作家」(項目執筆)pp.230-231 私小説ハンドブック作者: 秋山駿,勝又浩,私小説研究会出版社/メーカー: 勉誠出版発売日: 2014/03/31メディア: 単行本この商品を含むブ…

多言語社会日本 その現状と課題

多言語現象研究会編、三元社、2013年9月10日、担当「多言語日本と移民文学」pp.279-282 多言語社会日本―その現状と課題作者: 多言語化現象研究会出版社/メーカー: 三元社発売日: 2013/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る短いコラムですが…

戦争を〈読む〉

石川巧・川口隆行編、ひつじ書房、2013年3月、担当「第15章 難民――シリン・ネザマフィ「サラム」」、pp.244-260 戦争を〈読む〉作者: 石川巧,川口隆行出版社/メーカー: ひつじ書房発売日: 2013/04/08メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (…

認知物語論の臨界領域

西田谷洋・浜田秀編、ひつじ書房、2012年9月7日、97頁、担当「小説とスキーマをめぐるスケッチ――デフォルト値、推論、ヘッダー」pp.21-35 西田谷さん、浜田さんたちと作った認知物語論系の二冊目の共著。物語論についての理論的な考察を行った小論を書いた。…

来日留学生の体験――北米・アジア出身者の1930年代

マイグレーション研究会編、不二出版、2012年6月15日、担当論文「望郷のハワイ――二世作家中島直人の文学――」pp.3-24 (本論文は『文学研究論集』27号(筑波大学比較・理論文学会、2009年2月)発表の論考に修正を加え、編者の許諾のもと本書に収録したもので…

渡航する作家たち

神田由美子・高橋龍夫編、翰林書房、2012年4月20日、223頁、担当「アメリカに彷徨う 在米日本人としての荷風」pp.43-54 大学・短大のテキスト用に編まれた書籍です。永井荷風の米国体験およびその作品を、日系移民の経験から読み直す、という角度で書きまし…

〈글〉에 의지하여: 일본계 아메리카이민자 강제수용하의 믄힉할동

식민지 일본어문학/문화연구회 편『제국일본의 이동과 동아시아 식민지문학 2 대만,만주,숭국,그리고 환태평양』도서줄판 문, 2011.11, pp.463-501 (엄인경 역) 日本語題:「〈文〉をたよりに――日系アメリカ移民強制収容下の文学活動」

認知物語論キーワード

西田谷洋・浜田秀・日高佳紀・日比嘉高 共著、和泉書院、2010年4月、全108頁 [rakuten:book:13653883:detail]数年来やっていた物語論についての研究会の「報告書」のような位置づけ。認知と物語論をつなぐのは、思った以上に難航しました。とにかく、なんと…

読む人の旅の別れ――『あめりか物語』『ふらんす物語』

柘植光彦編『永井荷風 仮面と実像』ぎょうせい、2009年9月25日、pp.88-94、所収 [要旨] 荷風の『あめりか物語』『ふらんす物語』を、旅することと読むことの物語として考察した。とりわけ『ふらんす物語』中の諸作品を取り上げ、彼が実際に旅人であったか…

近代日本メディア人物誌――創始者・経営者編

土屋礼子編著、ミネルヴァ書房、2008年6月20日、「佐藤義亮」p.137-144を担当 【楽天ブックスならいつでも送料無料】近代日本メディア人物誌(創始者・経営者編) [ 土屋礼子 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > その他ショップ: 楽天ブックス価格: 3,024円楽…

〈コラム〉鉄道と関西文化圏

『横光利一と関西文化圏』,田口律男ほか編,松籟社,2008年12月,pp.183-185 「共著」のカテゴリに入れてあるが、正確には「その他」に分類すべき量と思われるコラム。宣伝も兼ね、ということで。 横光利一と関西文化圏作者: 黒田大河,島村健司,杣谷英紀,田…

鉄道――関西近代のマトリクス

日本近代文学会関西支部編 和泉書院 2007年11月 定価945円(本体900円) (いずみブックレット1)A5・並製・64ページ・ISBN978-4-7576-0437-7 鉄道―関西近代のマトリクス (いずみブックレット)作者: 日本近代文学会関西支部出版社/メーカー: 和泉書院発売…

大衆の意地悪なのぞき見──『講談倶楽部』のスポーツ選手モデル小説──  

『大衆文学の領域』大衆文化研究会編集・発行、2005年6月,pp.197-213 [紹介] 1930年前後に大衆誌『講談倶楽部』を舞台に展開した、スポーツ選手モデル小説を分析する。近代文学の歴史上、モデル問題は数多く生起しているが、本論の対象とするモデル小説は…

漱石の「猫」の見たアメリカ──日系移民一世の日本語文学──

『〈翻訳〉の圏域』筑波大学文化批評研究会編集・発行、2004年2月、pp.227-243 [紹介] 本論文は、『吾輩の見たる亜米利加』(保坂帰一著、1913-4)というある日系移民が書いた小説を分析することを通じて、一世たちの日本語文学の位置・意味を考えることを…

〈城〉からの眺め

米村みゆき編『ジブリの森へ──高畑勲・宮崎駿を読む──』共著,2003年12月,森話社,pp.56-81,他共著者7名 [rakuten:book:11219077:image] [紹介] 宮崎駿のアニメーション映画を、〈城〉の表象に注目しながら横断的に分析した。『未来少年コナン』から『千…

「モデル問題」の発生──内田魯庵『破垣』

『国文学 解釈と教材の研究』第47巻第9号、2002年7月、pp.31-35、7月臨時増刊号・特集「発禁・近代文学誌」のち国文学編集部編『発禁・近代文学誌』共著,2002年11月,学燈社,pp.31-35,他共著者36名(臨時増刊号の書籍版) [紹介] 「モデル問題」は実在…

〈自画像の時代〉への行程──東京美術学校『校友会月報』と卒業製作制度から──  

『明治期雑誌メディアにみる〈文学〉』筑波大学近代文学研究会編集・発行、2000年6月,pp.206-225 [紹介] 東京美術学校(現・東京芸術大学)の諸制度・資料を分析し、近代日本における自画像の出発のようすを考える。東京美術学校西洋画科の卒業製作制度(…

〈翻訳〉とテクスト生成――舟木重雄「ゴオホの死」をめぐって――

『多文化社会における〈翻訳〉』筑波大学文化批評研究会編集・発行、2000年6月、pp.219-238 [紹介] 大正元年に発表された舟木重雄「ゴオホの死」は、ゴッホに憧れ、彼のような芸術家になりたいと苦しむ小説家志望の青年の一日を描いた短編小説である。この…

創刊期『太陽』の挿画写真――風景写真とまなざしの政治学――

『植民地主義とアジアの表象』筑波大学文化批評研究会編集・発行、1999年3月、pp.61-87 [紹介] 明治28年創刊の総合雑誌『太陽』は、日本の雑誌が写真をその誌面に取り込み始めた初期の例である。日清戦争期に現れたこの巨大雑誌が、どのような外国像・日本…