認知物語論の臨界領域
西田谷洋・浜田秀編、ひつじ書房、2012年9月7日、97頁、担当「小説とスキーマをめぐるスケッチ――デフォルト値、推論、ヘッダー」pp.21-35
西田谷さん、浜田さんたちと作った認知物語論系の二冊目の共著。物語論についての理論的な考察を行った小論を書いた。取り組んだのは、「デフォルト値」「デフォルト推論」という発想。「ボールが飛び込んできてガラスが割れた」という文章を(単独で)読むと、たいていの日本語話者は、ボールを野球のボールの類いとして受け止める。ラグビーボールやバレーボールだとは考えない。このように、値が与えられていないところに、適当にとりあえず埋める初期値を「デフォルト値」といい、その推定の作業を「デフォルト推論」という。文学作品の読解には、このデフォルト値、デフォルト推論が関わっている、というのが骨子である。
- 作者: 浜田秀,日比嘉高,井上優,西田谷洋,川本玲子
- 出版社/メーカー: ひつじ書房
- 発売日: 2012/09/19
- メディア: 単行本
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