日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

読む人の旅の別れ――『あめりか物語』『ふらんす物語』

柘植光彦編『永井荷風 仮面と実像』ぎょうせい、2009年9月25日、pp.88-94、所収


[要旨] 荷風の『あめりか物語』『ふらんす物語』を、旅することと読むことの物語として考察した。とりわけ『ふらんす物語』中の諸作品を取り上げ、彼が実際に旅人であったか否かという観点からではなく、描かれた旅が読むことと密接に結びつく形で提示されており、そしてその密接な関係が不可能となっていく行程もまた描かれていたと論じた。



永井荷風―仮面と実像

永井荷風―仮面と実像