日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

ジャパニーズ・アメリカ――移民文学・出版文化・収容所

新曜社、2014年2月20日

ジャパニーズ・アメリカ: 移民文学・出版文学・収容所

ジャパニーズ・アメリカ: 移民文学・出版文学・収容所

ジャパニーズ・アメリカ 目次

序章 海を越える文学―移民・書物・想像力
1 旅をする本と出会う
2 研究のねらい
3 日系アメリカ移民略史
4 日系アメリカ移民文学とその研究史
5 本書の概要

I アメリカに渡る法

第1章 移民の想像力―渡米言説と文学テクストのビジョン
1 アメリカへ―
2 誘う言葉たち
3 渡米物語の想像力
4 裏面の物語

第2章 船の文学
1 船から読む
2 成功ブームと渡米の夢
3 永井荷風「船室夜話」を読む

II サンフランシスコ、日本語空間の誕生

第3章 日本語新聞と文学
1 「文学」に必要な環境
2 日系アメリカ移民と日本語新聞
3 移民地の「国内刊行物」
4 移民新聞と日本語文学―『新世界』の場合
5 まとめ―移民新聞の役割

第4章 移民と日本書店―サンフランシスコを中心に
1 移民地と日本語空間
2 日本書店小史
3 取次
4 販売
5 書店を経ない流通
6 文化の循環・創出の結節点としての日本書店

第5章 ある日本書店のミクロストリア―五車堂の場合
1 五車堂の歴史
2 五車堂の商売
3 もう一つの五車堂の歴史
4 駿河台下の五車堂をめぐる挿話
5 書物のネットワークのなかで

III 異土の文学

第6章 一世、その初期文学の世界
1 移民文学史の空白
2 初期文学の配置図
3 初期日系移民文学の特質
4 個別の作品から見えるもの―成功、醜業婦、写真結婚
5 まとめ―異なる「文学」観

第7章 漱石の「猫」の見たアメリカ
1 吾輩は移民する
2 「吾輩の見たる亜米利加
3 移民の文学リテラシーと情報の流通網
4 移民たちの姿―生活、排日、そしてオリエンタリズム
5 殖民論と「郷土小説」と
6 〈外〉の眼と環太平洋のネットワーク

第8章 永井荷風『あめりか物語』は「日本文学」か?
1 移動のもたらす混乱
2 在米日本人としての永井壮吉
3 荷風、在米時代の文学活動
4 『あめりか物語』の描いたもの/描かなかったもの
5 まとめ―学術領域の再考へ

第9章 転落の恐怖と慰安―永井荷風「暁」を読む
1 滞米時代の荷風、再考
2 「暁」を読む
3 コニー・アイランド
4 魔窟の一夜は明けたか

第10章 絡みあう「並木」―太平洋両岸の自然主義文学
1 オリジナル? コピー?
2 自然主義、海を渡る
3 ロサンゼルスの自然主義者―岡蘆丘「並木」
4 「並木」の変貌―島崎藤村と岡蘆丘

IV 移動の時代に

第11章 洋上の渡米花嫁―有島武郎「或る女のグリンプス」と女の移民史
1 〈男の移民史〉のオルタナティヴ
2 渡米花嫁の移民史
3 海を渡る女への想像力
4 表象とボーダー・コントロール
5 田鶴子、再考
6 「或る女のグリンプス」は何を描いたか?

第12章 移植樹のダンス―翁久允と「移民地文芸」論
1 翁久允の文学活動
2 「移民地文芸」論の展開
3 出稼ぎから定住へ
4 自立と混成と
5 二重性を生きる
6 移植樹のダンス

第13章 望郷のハワイ―二世作家中島直人の軌跡
1 中島直人の面白さ
2 〈昭和文壇側面史〉ではなく
3 ハワイと日本のはざまに
4 「赤瓦」の人種
5 「ワイアワ駅」を読む―移動・記憶・望郷
6 中島直人の文学から見えるもの

第14章 〈文〉をたよりに―日系アメリカ移民強制収容下の文学活動
1 収容所の文学

2 第二次大戦下の日系人強制収容
3 分断と越境―キャンプにおける文芸活動・概観
4 収容所の文学を読む(1)―旅
5 収容所の文学を読む(2)―便り
6 〈文〉をたずさえて―おわりに


あとがき
初出一覧
主要参考文献
資料1 『桑港乃栞』第壹―六編総目次
資料2 中島直人著作目録稿
資料3 北米日系移民文学・文化史関連年表
人名・作品索引  事項索引

http://www.shin-yo-sha.co.jp/mokuroku/books/978-4-7885-1369-3.htm