〈自己表象〉の文学史──自分を書く小説の登場──
- 作者: 日比嘉高
- 出版社/メーカー: 翰林書房
- 発売日: 2002/05
- メディア: 単行本
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価 格 : 4,200円
ISBN : 4-87747-145-1
[目次]
序 章 〈私小説起源論〉をこえて
1 〈自分を書く〉ということ
2 先行する評価群の整理
3 〈私小説起源論〉の諸種
4 批判と超克
第I部 〈自己表象〉の登場
第1章 メディアと読書慣習の変容
1-1 作品・作家情報・モデル情報の相関──明治三〇年代──
1 『新声』と新声社の活動
2 作家情報と作品の交差
3 題材/モデル情報と作品の交差
4 作家情報と題材/モデル情報
1-2 「モデル問題」とメディア空間の変動──明治四〇年代──
1 「モデル問題」の射程
2 「モデル問題」の顛末
3 「モデル問題」のもたらしたもの
第2章 小説ジャンルの境界変動
1 「自分を主人公として作つた」小説たち
2 〈身辺小説〉の流行と〈自己表象テクスト〉の登場
3 「蒲団」の読まれ方
4 小説ジャンルの境界変動
5 〈自己表象テクスト〉の出発
第3章 〈文芸と人生〉論議と青年層の動向
1 〈文芸と人生〉論議の推移
2 青年たちの〈文芸と人生〉
3 「人生観上の自然主義」という思想
4 論議の行方
第4章 〈自己〉を語る枠組み
4-1 〈自我実現説〉と中等修身科教育
1 〈自己〉への関心
2 〈自我実現説〉とは何か
3 中等修身科教育と〈自我実現説〉
4 〈自己〉を語る枠組みの形成
5 結び──〈自己〉・人格・芸術
4-2 日露戦後の〈自己〉をめぐる言説
1 「二潮交錯」
2 〈自己〉論の三つの系統1 自己の文芸論
3 〈自己〉論の三つの系統2 自己の描写論
4 〈自己〉論の三つの系統3 自己の探求論
5 〈自己〉論の隆盛と〈自己表象テクスト〉
第5章 小結──〈自己表象〉の誕生、その意味と機能
1 小結
2 〈自己表象〉の再評価へ向けて
3 〈自己表象〉の意味と機能
第II部 〈自己表象〉と明治末の文化空間
第6章 自画像の問題系──東京美術学校『校友会月報』と卒業製作制度から──
1 自分を描く小説と絵画
2 東京美術学校西洋画科の卒業製作制度
3 絵画の読み方──作品と「人格」
4 〈自己〉への関心の広がり──校友会文学部と同時代の動向
5 〈自画像の時代〉へ
第7章 帰国直後の永井荷風──「芸術家」像の形成──
1 ある〈肖像〉
2 読書の慣習と新帰朝者
3 『あめりか物語』から『ふらんす物語』へ
4 「歓楽の人」荷風
第8章 〈翻訳〉とテクスト生成──舟木重雄「ゴオホの死」をめぐって──
1 〈ゴッホ神話〉の形成
2 〈神経衰弱小説〉の系譜
3 「ゴオホの死」における〈翻訳〉
4 結び──〈翻訳〉を拡張する
初出一覧
あとがき
私小説研究文献目録
索引