ETV特集「告白~満蒙開拓団の女たち~」がものすごかったから、本当に見て欲しい
8月の放送を見逃していたので、再放送を見た。
この夏のNHKの戦争関係のドキュメンタリは本当に名作揃いだった。「インパール作戦」のも「樺太引揚げ」のやつもすごかったが、私はこの「告白~満蒙開拓団の女たち~」が最高の作品だと思う。
見てない人は、ぜ っ た い に 見た方がいい。
一人の女性の告白をきっかけに、村の歴史に色んな人が向き合い始める。過酷な、そして口に出すのが憚られる歴史。女が、男が、息子が、証言を始める。資料が出て来る。つらい現実や事実が、てんこ盛りで出てくる。ここまでで充分すごい。引揚げ開拓団が作った、開拓団の中の性的「接待所」の歴史。
けど、一番この番組が凄かったのは、「戦後」も描いたことだと思う。番組は戦争を、終戦と引揚げで終わらせなかった。
「村のため」に犠牲を強いられた未婚の女性達が、おばあちゃんになるまで生きてきた70年を越える月日に、ちゃんと向き合った。
そのおばあちゃんたちの強さ。前向きさ。
歴史に向き合うってどういうことなんだろう。
人に言えないような「恥」を抱えて生きていくってどういうことなんだろう。
それを語るってどういうことなんだろう。
それを聞くとは、どういうことなんだろう。
この人たちは、ぜんぶ抱えて、でも前向きに生きてきた。きれいごとですまない歴史と人生を生きてきた。大半が穏やかになされる彼女たちの語りの奥にある壮絶な強さに、圧倒される。
「恥ずべき歴史」に向き合うことは、その人を強くするのだ、ということを、番組は教えてくれる。そしてネガティブな過去に向き合うことは、決してネガティブな行為ではなく、むしろそこから這い上がり、先へ進む、力強く、明るい(影を含んだとっても複雑な明るさだけれど)行為なのだということを、教えてくれる。
つらくて、悲しくて、苦しいけれど、しかし「人の強さ」のお裾分けがもらえるような、そんな番組だった。
オンデマンドとかで見られるようになるんだろうか。見逃した人は、本当にお薦めだからどうか見て下さい。
なお、見る時にはハンカチがいります。