日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

最近いただいた本


言葉を食べる―谷崎潤一郎

言葉を食べる―谷崎潤一郎

 五味渕典嗣さんの単著。1920年代の〈危機〉にもっとも真剣に向き合った作家として、谷崎潤一郎をとらえる。全5章だが、本も、内容も分厚い。五味渕さんの論文は、テクストの読解と同時代の言説との接続のさせ方が上手で、かつバランスがいいという印象がある。引いてくる引用や参照する文献についても感度がいいなぁと、毎度思う。今回も、そのあたり勉強させていただきました。感謝!


永井荷風・ジャンルの彩り

永井荷風・ジャンルの彩り

 真銅正宏さんの新著。永井荷風を文体、ジャンルという角度から再考する。文学理論についてのご著書もある真銅さんらしく、ルビや言文一致、花柳小説、散策記、日記などといった文体・ジャンルを「定義」(文字どおり)しようという試みと、それを永井荷風という作家の個別の問題として解いていこうという、両側から迫る試み。作家研究をどうバージョンアップするか、ということについての真銅さんからの一つの答えでもある。読むべし。感謝!



http://scs.kyushu-u.ac.jp/~th/genbunken/kenkyu/kenkyu.htm
『原爆文学研究』第8号
 川口隆行さんからご恵贈いただく。三島由紀夫と原爆文学についての小特集がある。いつも、力の入った論文が多く掲載される研究誌で、がんばっているなぁと思う。最近は、合同の研究会なども積極的になさっているようで、ますます面白くなりそうである。今度も、某学会とジョイントがあるとかいう噂も聞いた。楽しみである。