日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

〈自己〉を語る枠組み――中等修身科教育と〈自我実現説〉――





『国語と国文学』第77巻第7号、2000年7月、pp.41-54



[紹介]

 明治20年代後半に移入された倫理学説〈自我実現説〉と当時の文学的思考との交差を検証する。この学説のもつ論理を明らかにし、それが中等修身科教育に組み込まれていく様相をたどる。そこから修身教育を経ることで〈自己〉をめぐる思考が成型されていった道筋が明らかになる。倫理学説と文学的思考との接続を具体的に解明、〈自己表象テクスト〉が誕生する一つの契機を考察した。

“自己表象”の文学史―自分を書く小説の登場に収録しています。