教育にお金を 「娘の除籍」毎日新聞2016年3月31日
つらい記事だ。
娘の除籍 東京都港区・匿名希望(会社員・55歳)
毎日新聞2016年3月31日 東京朝刊
11万5000円の学納金を納めることができず、娘が大学を除籍になりました。
数年前、私は正社員として10年以上勤めた会社を、身内の介護のため辞めざるを得ない状況となりました。
当時高校生だった娘は、通信制高校へ転校しました。
娘は高校卒業後2年間は、バイトで入学費用をためつつ受験勉強しました。
そして昨年ようやく入学した大学でした。
その直後に、私は会社の勝手で解雇されました。
娘は奨学金でなんとか通い続けました。
私がこの2月より新たな職に就き、またダブルワークでこれからいろいろと上向きになる、と思っていたところに受けた除籍通告でした。
両親も既に他界しました。母子2人、必死に必死に、生きてきました。
私は親として、つらい気持ちで張り裂けそうです。
どこにこの思いを話しても、ようやく入学した大学を除籍されるという事態は変わりようがありません。親としてふがいなさだけが残りますが、これが現実なのですね。
非正規雇用の母子家庭として、我が家が直面した状況は、今の政策が、本当に私たちレベルの庶民の現実など、全く理解できていない人々によって生み出されたことを物語っています。
どうぞ、学びたい若者の希望をかなえられる社会になりますようにと、願ってやみません。
http://mainichi.jp/articles/20160331/ddm/013/070/028000c
昔、経験したことだが、教授会が除籍の判断をするとき、必ず名前が挙がってくる一人の学生がいた。○○日までに入金がないと、除籍になる、と事務の人が説明した。私はその学生のことを知っていたので、ほんとうに毎回つらかった。何もしてあげることはできなかった。
毎回、その期日に向けて、家族やその学生自身は、どのような苦労や無理をしていたのだろう。どのような気持ちでいたのだろう。私はそれを想像するしかない。
その学生は四年間で卒業することができた。いま、元気に働いているはずだ。ほんとうに、よかった。
けれど、世の中には、そのようにしてその期日までに入金を間に合わせることができなかった学生が、たくさんたくさんいるのだ。この記事のように。そしてその数は、増えているのだろうか。
教育は、貧困から抜け出すための大切な道の一つだ。教育によって救われるのはその人個人だけではない。彼女の今の家族も、未来の家族も、みな上昇する可能性が高くなる。それが教育の力だ。
回すべきところに、お金を回して欲しい。
馬鹿げた戦闘機に3600億円払えるのなら、そのうちのわずかでも、こういう家庭に回してくれ。心の底からお願いするよ。