とにかく、だな。
春休みは終わるが、春休みの宿題が終わらないんだ。
一日はあっという間に終わるが、
やりたかった一日の課題はぜんぜん終わらないんだ。
学生よ、おれの部屋に来るな。
電話、鳴らなくていい。
メール? なんですかそれ。
保育園、やっぱおれが行くんだよね?
今日、昨日締め切りの校正紙が入った封筒を開封しました。
ええ、机の上がきたないのがいけないのです。
今日、別の校正をすぐに戻して欲しいという携帯の電話をもらいました。
え? だって昨日卒業式だったんだもん。
春休みはまるでこれから咲く花畑のように見えた。
一月の末には。
いま花畑は廃園。一度も咲くことのなかった廃園。
東にまたも病気の愚息あれば
行って看病してやり
西につかれた入試あれば
行ってその紙の束を負い
南に死にそうな学生あれば
行って怖がらなくてもいいからはよカウンセリングに行けといい
北に会議や委員会があれば
つまらないからやめろと小声で言い
ひとりの夜に涙を流すのだ。
そういう春休み。
わたしの春休み。
ここは大学、盛り場じゃないのよと、
レースのカーテンの陰ささやく声は中島みゆきの夏休みの歌だった。
スプリング・バケーション
私のために
スプリング・バケーション
春、ひるがえれ