日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

危機の時代の歌──米国日系移民強制収容所の俳句、短歌

現代詩手帖、第63巻第11号、2020年11月、pp.40-44

坪井秀人さんの『二十世紀日本語詩を思い出す』(思潮社)の刊行を記念した特集に寄稿しました。内容は副題の通りなのですが、自分としては、『怒濤』という収容所の中の同人誌に発表された句

 置去りの犬に転住見送られ   兒玉八角

の解釈が気に入っております。1945年6月に詠まれたものです。収容所から出て行くとき、置き去りにされる犬を見る目、その犬に見返される目。「置去り」にされた何ものかが、犬に姿を変えて、私を見送っている。日系人の俳句や短歌を見ると、彼らは人生をよく旅に喩えています。収容所から出て行く「転住」もまた、その意味では旅なのでしょう。彼らは、すべてをかついで旅していたのでしょうか。いやむしろ、何かを置き去りにしながら、旅を続けていたのではないか。犬は、そういう彼らの後ろ姿を、じっと見ている。そんなことを考えながら、読んだ句でした。
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プライヴァシーの誕生──モデル小説のトラブル史

新曜社、2020年8月12日、308頁

目次

序 章 モデル小説とプライヴァシー
     1 モデル小説は何を引き起こすか 
     2 プライヴァシーは変化してきた
     3 文学からプライヴァシーを考える
     4 小説の言葉が行なうこと――転形、媒介、侵犯
     5 本書の概要 
第1章 モデル問題の登場――内田魯庵「破垣」の発禁と明治の社会小説
     1 「破垣」の発禁と内務大臣末松謙澄
     2 社会小説と諷刺――内田魯庵の文学
     3 筆誅の時代とスキャンダルの公共圏
     4 登場人物の類型的表現のもつ力
     5 境界の構築と小説
     6 発禁余波――内田魯庵の表現および文学者の感覚の変化
第2章 写実小説のジレンマ――トラブルメーカー島崎藤村自然主義描写
     1 藤村伝説 
     2 「はじめて産れたる双児の一」の発禁――「旧主人」 
     3 一九〇七年のモデル論議 
     4 モデル論議からみえる明治末の〈私的領域〉
     5 文学空間の変化――情報編成、読書慣習、窃視の好奇心
     6 〈藤村伝説〉の亀裂――「突貫」
     7 小説の暴力、好奇心の暴力――「新生」 
第3章 大正、文壇交友録の季節――漱石山脈の争乱Ⅰ
     1 大正期の文壇交友録小説と芥川龍之介「あの頃の自分の事」
     2 第四次『新思潮』派の紛擾と菊池寛「無名作家の日記」 
     3 芥川の仕掛けたもの――交友録小説と文壇の鳥瞰図 
     4 〈閉じた文壇〉論と私小説論 
     5 〈通俗〉への通路をさぐる 
第4章 破船事件と実話・ゴシップの時代――漱石山脈の争乱Ⅱ
     1 〈芸術〉か〈通俗〉か 
     2 久米正雄「破船」の戦略
     3 告白・実話・ゴシップ 
     4 松岡譲「憂鬱な愛人」の受難
     5 加速する大衆文化時代 
第5章 のぞき見する大衆――『講談倶楽部』の昭和戦前期スポーツ選手モデル小説
     1 問題のモデル小説
     2 水泳選手の受難――近藤経一の「傷ける人魚」 
     3 『講談倶楽部』の「実話」路線とスターの登用 
     4 大衆文化へと浸透するモデル小説
     5 野球狂時代
     6 三原脩と小説「青春涙多し」
     7 ヒーローは墜落する 
第6章 〈プライヴァシー〉の誕生――三島由紀夫「宴のあと」と戦後ゴシップ週刊誌
     1 「宴のあと」、訴えられる
     2 なぜプライヴァシー権は要請されたのか
     3 プライヴァシーの誕生と拡散
     4 プライヴァシー論議と文学の自画像
     5 作品と読者
     6 テクストは知っていた?
     7 公の裸体 
第7章 〈芸術性〉をいかに裁くか――昭和末、高橋治「名もなき道を」の勝訴
     1 唯一の小説家側勝訴例 
     2 高橋治「名もなき道を」とその訴訟
     3 モデル小説の〈芸術性〉をどう評価するか
     4 〈芸術性〉をめぐる法学者たちの見解
     5 二つの〈芸術性〉1――〈虚構化〉
     6 〈虚構化〉と読者
     7 二つの〈芸術性〉2――〈芸術的価値の高さ〉
     8 法の場における〈芸術性〉の再規定のために
第8章 モデル小説の黄昏――平成、柳美里石に泳ぐ魚」のデッドエンド
     1 「石に泳ぐ魚」裁判の経緯
     2 「時代の流れ」――法律家、文学者の分裂
     3 報道被害と個人情報の登場
     4 「宴のあと」のあと
     5 読むことの倫理、そして図書館の自由
終 章 ネット社会のプライヴァシーと表現
     1 プライヴァシーの変容
     2 創発する監視網
     3 自己情報のコントロールは可能か
     4 ネット時代の表現とプライヴァシー

モデル問題関連年表
事項・作品名・人名索引 

Japanophone Poems in Motion: Languagescapes of Itō Hiromi and Tian Yuan

Fechner, Matthias, and Henrieke Stahl, eds. Subjekt und Liminalität in der Gegenwartsliteratur, (Bern, Switzerland: Peter Lang D, 2020) accessed Oct 8, 2020, https://doi.org/10.3726/b17545

世界の現代詩を研究するトリア大学(ドイツ)のチームに誘われて、伊藤比呂美さんと田原さんの詩について、論考を書きました。私はたまたま誘われて末端に連なっただけなのでよく分かってないのですが、なんでも予算規模が億単位で、世界中の現代詩を大勢のメンバーで探求するという壮大なプロジェクトとのことです。

私は、現代日本トランスナショナルな詩を取り上げ、伊藤比呂美さんの「鰻と鯰」(『現代詩手帖』2011年9月号)、田原さんの「異国の電車」と「夜明け前の汽車」(『石の記憶』思潮社、2009年10月)を論じています。
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科研費採択課題を対象とした研究課題の計量テキスト分析──日本文学 の場合

科研費採択課題を対象とした研究課題の計量テキスト分析──日本文学の場合」『社会文学』第52号、2020年8月、pp.89-100

私としては、初めての計量テキスト分析の論考、つまりコンピュータを用いて、テキストデータを量的・統計的に分析したものになります。材料は日本文学関係の科研費データベースのタイトルや概要です。

作業をしていて、とってもとっても、面白かった。この方向、もっと勉強しないと、と可能性に興奮した1本です。

雑誌誌面は視認性が悪いため、論考注の図表のデジタル版を、ここに公開いたします。再配布、再利用していただいてかまいませんが、出典はお示し下さい。

http://park18.wakwak.com/~hibi/Hibi__Kaken_ShakaiB52.pdf



もともとは、2019年秋の三学会合同国際研究集会のラウンドテーブル(2019年11月24日於:二松學舍大学)で報告させてもらったものです。関係の先生方、係の皆さんにあらためて感謝します。

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「パンデミック小説の地図を書く」 すばる9月号

『すばる』第42巻9号、2020年8月、pp.144-151(9月号)、特集「表現とその思想、病をめぐって」

新刊出来! 単著が出ます。

コロナ禍の大学キャンパス、およびオンライン授業3ヶ月経過後の授業アンケートの結果

コロナ禍の中の大学キャンパス

この記事は、Twitterで「#大学生の日常も大事だ」というハッシュタグが注目を集めている中で書いています。

最初、以下で紹介する私の授業アンケートの結果と、ハッシュタグで並ぶ大学生たちの訴えは、けっこう違うな、という感想を持っていました。
しかし考えてみれば、私が取ったアンケートは「授業についてのアンケート」であって「大学生活についてのアンケート」ではない。少し前に、Twitterだと思いますが「オンライン授業には廊下がない」というような発言を見て、至言だと思いました。ここでいう「廊下」は、「すきま」であり「あそび」です。「すきま」や「あそび」は、大事です。根源的に、大事。

オンライン授業について、私は好感も持っていて、可能性も感じています。私のいくつかの授業には、海外から聴講している学生がいます。対面授業であっては、考えられないことです。情報検索の授業をしたときには、授業とネットの世界(含むデジタル資料)がダイレクトにつながる利点を痛感しました。オンライン授業は、あきらかに大学の未来形の一つです。その可能性は伸ばすべきです。

一方、オンライン授業は教員側から言っても味気ない。顔を消した学生たち、名前だけがマス目のように並ぶ画面の前で熱弁を振るいながら、ふと「おれはいったいなにをしているんだ」と我に返ってしまう。「ミーティングを閉じますか」ボタンを押してクラスの空間が消え失せた後の、突然目が覚めたような、取り残されたような、あの落ち着かなさ。
対面であれば、お互いの息づかいがわかったし、授業が終わったあとの余韻があった。その余韻の中で質問に来る学生はいたし、雑談をする学生たちもいた。

キャンパスが恋しい、という学生たちの気持ちは、痛いほどわかる。私も、大学のキャンパスが好きだった学生の一人だったから。食堂や授業前後の教室や、廊下での馬鹿話が好きだったから。学生の居室だった研究室で先輩後輩、仲間と苦楽をともにした経験を持っているから。

ハッシュタグを使って、大学に行きたいと訴える学生の気持ちをわからない大学関係者なんて、実際には少数派だと思う。みんな学生だったんだよ。だから、「君らが何を奪われているのか」、よくわかるつもりだ。けれど、今は、難しい。いまこのタイミングで、たとえば東京で、対面に踏み切った場合、まず間違いなく大きなクラスタが発生する。そしてそれはとてつもなく大きなダメージを、自分にも周囲にも与えてしまう。完全解禁は、できない。

私たちは、知恵を絞って、大学に「キャンパス」を取り戻さなくてはならない。そこは、構成員のすべてが、その滞在時間のすべてを過ごす場である。勉強をし、対話をし、食事をし、なんなら昼寝をし、考え、笑い、悲しみ、出会い、別れる場である。

対面かオンラインか、という二択だけが我々の選択肢ではないはずだ。廊下や広場やベンチや食堂や購買や図書館や、そうしたすべてが「キャンパスの経験」を形作る。感染を避けながら、キャンパスを取り戻す、そんな賢い選択のために知恵を集めよう。

オンライン授業3ヶ月経過後の授業アンケートの結果

さて、ここからは授業アンケートの結果です。

私の勤務校でも、2020年の前期は全面的にオンライン授業でした。私にとっても学生にとっても初めての経験であり、オンラインでの授業がうまくいっているのかどうか、確かめたくて授業アンケートを採りました。規模の小さな私的調査ではありますが、参考までに以下に結果を公開します。(なお 公開にあたっては、「無記名で行います。成績とは関係しません。アンケートの結果を個人が特定されない形で、公表することがあります。」と学生に事前に周知しています。)


アンケート対象クラスの概要

アンケートを採ったクラスは次のようなクラスです。

  • 授業は「近現代文学研究入門」という学部向け2年生以上配当の講義系科目。教職免許関連。文学部開講。
  • 出席者は平均30名弱。アンケート回答総数26
  • 回答者の属性は、学部3・4年生19名、修士1年生5名、研究生1名、聴講生1名。全員が人文学を中心とした人社系。
  • アンケート実施日は7月9日。オンライン授業を開始してほぼ3ヶ月後。

以下、結果です。日比の感想は最後に書いてあります。

アンケートの結果

授業に固有の質問項目など、結果の紹介を省略した項目もあります。なお、質問項目の作成に当たっては、ノートルダム女子大学が行った類似のアンケートを参考にしました。感謝です。

2.「近現代文学研究入門」のオンライン授業をこれまで受けて、授業としての「満足度」を5段階で評価して下さい。

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3.大学でのさまざまなオンライン授業を受けて,授業としての「満足度」を5段階で総合的に評価して下さい。

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4.あなたが現在受けているオンライン授業の形式を教えて下さい。(複数回答)

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Google Formsの自動集計で表示が欠けた項目は以下のとおりです。下から4番目「ZOOM、スライド・資料の配付」。下から2番目「LMSでPDF資料配付(音声データ等なし)、それについての課題を毎回提出。」

5.オンライン授業で困っていることについて,選択して下さい。(複数回答)

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欠けた項目:上から3番目7.7%「LMSなどの使い方がわからない。」上から5番目23.1%「ネット環境が十分ではない。」真ん中30.8%「オンライン授業・教材に取り組む時間がない。」下から6番目53.8%「ともだちと一緒に学べず孤立感を感じる。」下から4番目「授業内の議論を引き継ぐアンオフィシャルな場がない。」下から2番目「不十分、とは言えないがネット接続がたまに不安定になる。」下から2番目「学校の図書館に本を借りに行きたいのだが、ライブ配信での授業が一日に一コマはあり、なかなか開館時間に行けるタイミングがない。」

6.オンライン授業で良かったと思うことについて,選択して下さい。(複数回答)

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欠けた項目:下から4番目「コンピュータやオンラインのツールについて知識やスキルが高まる。」下から2番目「ZOOMの小部屋が、h時とをランダムに振り分けるので、いろんな人と意見交流ができて楽しい。(対面だと、相手が固定になりがちなので)」

8.オンライン授業と比較して、これまで受けていた対面授業の良かったと思うこと、よくなかったと思うことについて自由に書いて下さい。
  • 対面の方が、ささいなことでも友人と相談したり、質問したりできた
  • 良かった点は、対面授業は受ける時間が決まっているので、後回しにすることがないこと。授業が終わったら集中できる環境の整った図書館で課題ができること。良くなかった点は、授業時間外で質問をすることにためらいが生じること。
  • 対面のほうが集中できるが、やはり通学時間が無くなったことで自由になる時間が増えた。
  • 対面授業だと授業前後に質問ができるので良い。
  • 家が遠いので通学時間がかからないことが助かります。周りの人との意見交換がしにくいところが難点だと思います。
  • オンライン授業だと、ギリギリまで寝ていられたり、家で他のことをしていられるので、精神的にも体力的にも楽です。しかし、オンライン授業は教員も学生も慣れていないため、対面授業よりも手こずったり、ツールの使い方がわからなかったりして、授業の内容の充実度がイマイチな印象があります。
  • 正直な話、オンライン授業で事足りる授業もありますが、ずーっと家にいてたまにパソコンに向かって授業を受けるだけだと、学生としての生活があまり充実していないように感じます。
  • ディスカッションは、対面の授業の方がしやすい。それに対して、ディスカッションなどがない講義形式の授業は、集まってする必要性があるのか疑問に感じるようになった。
  • 対面の授業より集中できる
  • ゼミを例として挙げると、コメントしやすくなった気がします。しかし、ディスカッションは、やはり対面授業のほうがもっとやりやすいと思います。
  • オンライン授業のメリットとして、交通費と通学費の節約ができることと、端末機器さえあれば空間的節約がなくなり、海外でも授業に参加できるという点などが挙げられます。一方、デメリットとしては、新入生は学校への所属感などが弱いということがあると考えます。
  • 対面授業は緊張感が高いため、集中できるのがメリットであるが、オンラインのほうが、リラックスで自由に考えることができる。
  • 対面授業では議論が円滑にできることが良いと思います。ZOOMでは複数人が同時に発言すると音声が混ざって聞き取りにくくなり、そのために一人ずつ話すことになるので、議論のテンポが遅いような気がします。
  • 私は椅子に座ると体が痛くなるタイプなので、好きなように姿勢を崩せるオンライン授業の方が楽で良いなと思います。
  • 先生が生徒の反応を授業に取り入れているので分かりやすかった。
  • よくも悪くも個々の存在が目立たないという点で対面授業は好ましい。一方で講義ごとに場所を移動したり、授業時における講義型活動と演習型活動の切り替えをしたりするのに時間がかかるという点では対面授業は優れない。
  • 同じ授業を受けている人と知り合いになれることは良かった。通学時間が掛かったりメールで済むことを授業内に時間を取って行うのは良くなかった。
  • 公式な場で言えなかったことを授業後に言い合える場があることは、対面の良さであると思う。
  • 友人といっしょに過ごせることです。レポートを書く時、テスト勉強する時、やはり2人以上でやった方が進みます。
  • 休憩時間にわからないことをすぐに周りのクラスメートに教えを請うことができるし、交流する機会がある。
  • 大講義室で行うような授業はオンラインのほうが時間的な融通を利かせられて便利な時もあるが、特に、研究室で行うような演習などでは不便。対面のほうが質疑応答や議論がしやすい。古典の本などは電子書籍やPDFでなく、やはり実際に手に取って見たい。
  • 我々の反応を見ていただいて、授業のスピードや説明のレベルを対応していただける。
  • 利点:雑談が入ることや、それに対して反応できること。授業前後で友人と近況を報告し、情報交換できること。みんながどんなテンションでこの授業を受けているかが分かること。 よくなかったこと:発言することに抵抗があり、議論が活発にならないこと。教室や昼食の移動時間やすきま時間にあまり何も出来ないこと。(机がある場所に移動したり、鞄から荷物を取り出して、作業する環境を整えたりして落ち着いて集中できるようになるまでの時間が意外にも無駄にとられていた。)
  • 自宅が大学の近くではないので通学時間がかからないのはありがたいですが、はやく対面に戻ってほしいです。質問しづらかったり、課題のみだったりして、ある意味楽なのかもしれませんが、困ることが多いです。
  • 意見の共有が気軽に行えることが良いところだと思う。
  • 対面だと自分の体調が悪かったりするとその授業を受けられないが、オンラインのオンデマンドなどの方式であれば自分の都合に合わせられる。
9.あなたは対面授業が可能になったあと、大学でどのように授業を受けたいですか。

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欠けた%:緑7.7%「すべての授業を対面で受けたい」紫3.8%「演習は対面、講義系はオンラインがいい。」水色3.8%「演習形式のものは対面、講義形式のものはオンラインが良いが、移動時間を考えるとどちらかに統一してほしい。」

10.9でそのように応えた理由を書いて下さい。

この項目は8の回答と結び付けないと、本来読めないのですが、すいません今力尽きています…

  • 基本的にはオンラインで授業が成り立っているように思うが、話し合いなどのグループワークの際はやはり対面の方が話しやすいため。
  • ずっと家にいるとやる気も集中力も下がるから。
  • 特に人数の多い講義式の授業はオンラインのほうがいいと思ったから。
  • 討論が活発な授業や実習等は対面のほうが良いと思いますが、講義形式はオンラインでも比較的快適に受けることができます。それぞれ利点はあるのですが、どちらかに統一してもらえた方が助かります。
  • 〔…〕市外に住んでいるため自宅と実習を行う●●が遠く、2限のライブ配信型の講義を自宅で受けていると3限の実習に間に合わなくなってしまうので、大学に登校して2限の講義を受けています。これが少し不便です。同様に自宅と大学も遠いので、同じ曜日にオンライン授業と対面授業が開講されると、移動が厳しいかなと思います。
  • 通学時間の関係で時間的な面ではオンラインのほうが嬉しいが、話し合いや意見交換は対面でやりたいから。
  • 教室という同じ空間で授業を行うことによって、同じ空気感を共有できるから。
  • また、教室にいる方が、気を引き締めることができて、より集中できるから。
  • ゼミなどは対面でやりたいと思ったが、通学時間のことを考えると、講義形式の授業は、これまで通りオンラインで受けたいと感じた。
  • せっかくなので大学に行きたい
  • 本当に個人的な感想ですが。対面授業が好みですが、一限目の授業が苦手で、昼休みの習慣もあります。
  • 通学をしないことで経済的、時間的、さらに体力的にもメリットが大きいと思います。特に、外国人留学生にとって母国でも受講できることは、かなり負担を減らすので、もっと日本留学にチャレンジしやすくなると思います。
  • 人数の多い授業、一方的な講義など、対面でやることとオンライとは、あまり変わらないと思う、オンライのほうが便利。
  • 対人関係が苦手だから
  • 対面授業のほうが、ゼミなどの議論形式の授業を円滑にできると考えているから。
  • 演習の資料共有を紙で行いたいから。
  • 自宅が学校から少し遠いので、出来るだけオンラインでやれた方が楽だから。
  • 移動時間が削減されたり(講義によっては)授業時間に縛られなかったりする点でオンライン授業がよいと考えるから。ただし、- - 実験をしたり、受講者で論文や書籍など画面共有による提示が難しい教材を共有したりする際には、対面授業を行う必要があると考える。
  • 多くの人と会うのはストレスに感じるためオンライン授業をメインで受けたい。しかし対面の方が伝わりやすいこともあるため、織り交ぜた授業が理想的である。
  • 対面授業の方が精神衛生上よいため(ネット接続の不安、議論する際に相手の目が見えない不安)
  • 通学は2時間かかってしまうから。ただ演習系は対面の方がわかりやすくていいなと思う。講義はオンラインでも十分かなと思った。
  • 通学時間を節約し、昼ごろに充分な休憩を取ることが可能になるので、午後の授業に集中できる。
  • 8で答えたように、授業によって内容が違うからオンラインのほうが楽な場合もあるが、先生の顔も声も教室の雰囲気もわからないよりも対面のほうが記憶に残りやすいと思う。また、オンラインだと適当に見るだけのこともある。
  • 8.に記載したことに加え、資料の打ち出しが大変。また、その資料が読みにくい場合、対面だと先生へ直接問い合わせることが可能。
  • オンラインでのメリットは工夫次第で対面でも実現させることができる。半分要望でもあるが、学部生にも空いた時間に自由に使える研究室があれば集中する環境は整えられるし、議論をするのが当たり前の風潮になれば対面の方が議論はしやすいのではないか。
  • オンライン授業と対面授業と、授業によって選べるとありがたいと感じたからです。
  • スライドを用いた講義形式のものはオンラインの方が集中できる環境を作りやすかったから。一方、意見を共有したりすることを授業内で行うときは対面授業がよいと思う。

アンケートについての日比の感想

受講生たちの観察は冷静で、正確だと思いました。講義系の科目はオンラインに切り替えてもデメリットがさほどない。むしろ大教室での受講比較すれば、板書やモニタの近さ、教員との距離感から利点が大きい。LMSの利用が前提となるので、資料配付や出席管理など、大人数教室の負荷も軽減できる。一方、演習・ゼミ系は人間関係の経験・蓄積が学びに結びついている傾向が強いところもあって、やはり対面が効果が高いと思う。
距離を超えられ、時間を省略できるという利点も、やはりすばらしい。教室の空間が、地理的空間に縛られないから、海外からだって受講できる。また学生たちが書いていたように、長い通勤通学時間がないのは、ありがたいですね。
一方で、オンラインと対面とどちらが良いかという問いのかたちにした場合(問9)、意見は分かれます。それは当然でしょう。人付き合いの仕方に好みがあり、居住環境やネット環境の違いがあるわけですから。ただし、9割近くの学生がオンライン/対面が併存する状態を希望しているということが見て取れます(2020.7.16 08:33 この1文追記)。それを考えても、オンラインか対面かの二者択一は、ふさわしくないと思います。両者の強みを最大に発揮していけるようなハイブリッドなかたちを、これからの大学の授業は模索していくべきでしょう。