日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

外交と天皇が憲法を越えるとき

いま、「外交」と「天皇」を理由に、現役の府知事が現役の県知事の辞職を求める超展開になっている。
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愛知県知事は、「憲法通りにやります」と言っている。
その県知事に対して、府知事は辞職を求めている。
辞職を求める根拠は「憲法の外」にあることになります。
超法規的な根拠。

これは、表現の自由の問題を発端にしている出来事であるわけですが、表現の自由という重大な問題が軽く吹っ飛ぶぐらいの、やばい事態にしか思えません。

この先、外交が戦争に化けたら、天皇が法規を超越していた大日本帝国の時代が、本当にもう一回やってきてしまう。

戦争は国家を非常事態=例外状態におく。
非常事態に法を越えた力を振るえるのが最高権力者であるわけだけれど、上の府知事的な発想で「天皇」を法を越えた例外的存在に奉っていくと、遠からず「法の外」に天皇が立ってしまう。
いったんそうなったら、そこから出てくる命令=勅令を止める力はどこにもなくなる。
法の外部に、「例外」として君臨してしまうので、もう手も足も出ない。

ある人たちは、それを望んで、呼んでいる。
自覚しているのかどうかは知らないが、事実上、そうしている。
大阪府知事は、その風を読んでいるだけ。
そして、その風に乗りたい政治家は、彼一人ではない。

戦争なんて起こるはずない?
ドンパチやるだけが戦争と思っていたらいけないんじゃないかな。
ミサイル飛んでからが戦争、ではない。
戦争は、政治の、外交の、延長にある。

あ、ミサイルもう飛んでたんだっけ。