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日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

帝国データバンクの「大学に求める教育分野に対する企業の意識調査」が興味深い

帝国データバンクが「大学に求める教育分野に対する企業の意識調査」というのをやっており、その結果がいろいろ面白いです。
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p150905.pdf


「調査期間は 2015 年 8 月 18 日~8 月 31 日、調査対象は全国 2 万 3,283 社で、有効回答企業数は1 万 833 社(回答率 46.5%)」というので、かなりの規模であり、一定の信頼度がおけるデータだと私は思います。

私が興味深いなと思ったのは以下の二つ。

(1)業務遂行の現場で文系/理系の出身者に求めることが異ならない企業が5割程度、わからないを含めると6割を超えて多数派だということ。
(2)「自社の成長」と「日本経済の成長」と「社会の発展」と分けて質問すると、大学に求める教育分野が違ってくること。

以下、同調査より図表を引用します。

f:id:hibi2007:20150926001735j:plainf:id:hibi2007:20150926002151j:plain


前者の図から見ますと、「自社の業務遂行にあたり、文系と理系の出身者で求めることに違いが「ある」企業は全体の 29.2%」だそうです。3割も違いがある、と表現するか、3割しか違いがない、と表現するかで、ニュアンスも違いますし観点も違います。私自身は、3割しか違いがないというように受け止めました。従業員数が多くなるほど違いがあると答える企業が増えますが、それでも4割程度のようです。そして5割の企業は違いがないと答えているのです。

後者も面白いです。「自社の成長」のためには実学系学問(工学、経済経営、理学、農林、法学)が上位に来る。「日本経済の成長」のためはほぼ同じだが、法学の代わりに国際関係が来る(法学はその次)。興味深いのは「社会の発展」で、一位から医歯薬、看護保健、教員養成、文学語学、社会学の順になる。

こういうデータを示されると、「社会的ニーズ」とざっくりいわれるものが、やはりあやふやなのだなと思います。回答者側が多様なのは言うまでもありませんが、問い方によっても「社会的」の中身が変わることがわかります。

ちなみに! 文学部の教員として言いますと、「自社の成長」「日本経済の成長」「社会の発展」いずれにおいても、文学・語学は健闘している(6位、6位、4位)のであります。ま、「語学」に引っ張られた結果だとは思いますが、それでもこれはなかなかの結果であると私は思いますが、いかがでしょう。

最後に参考情報として、最近以下のような記事も読みました。就職でも文学部は悪くないのだというレポートです。www.yomiuri.co.jp