日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

コレクション私小説の冒険

貧者の誇り (コレクション私小説の冒険 1)

貧者の誇り (コレクション私小説の冒険 1)

虚実の戯れ (コレクション私小説の冒険 2)

虚実の戯れ (コレクション私小説の冒険 2)

梅澤さんはじめ関係者の方にお送りいただく。法政大学の雑誌『私小説研究』は一区切りのようだが、同じメンバーを起点に、こうしたアンソロジーが組まれたのはとてもうれしい。

私小説はなんだかんだ言って関心が衰えないサブ・ジャンルでありつづけていると思う。戦後批評による一時の注目のされ方と比較すれば、低調というか目だたなくなったということになるのだろうが、しかし近代文学の中で「ジャンル」と呼べるようなものは他に大してなく、また柳美里西村賢太をはじめとした、濃いキャラがしっかりと現代でも生きており、この手の小説が好きな人たちを楽しませている。

ただ、近代の名作を手軽にまとめて読みたい、となると、いま手軽に手に入るアンソロジーはまったくなかった。私などは授業で私小説のことをやりたいと度々思っていて、実際行っても来たのだが、そのたびに自分で作品を選んで配布したりしてきたものだ(それはそれで面白いわけだが)。

今回の勉誠出版からのアンソロジーは、その点でとてもありがたい出版企画であった。ぜひ続刊を望みたい。