日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

(取材協力)事実に基づかない政治という病:東京新聞

2018年3月2日の東京新聞 特報欄でコメントしています。ポスト真実的状況について。
下記の共著『「ポスト真実」の時代 「信じたいウソ」が「事実」に勝る世界をどう生き抜くか』に基づいた内容になっていますので、ご関心を持たれた方は、ぜひ。

東京新聞:事実に基づかない政治という病:特報(TOKYO Web)
リンク先は残念ながら前文のみ。記事全体は紙面でご覧下さい。中日新聞でも数日後の掲載と聞いています。
www.tokyo-np.co.jp


ポスト真実時代と市民社会(インタビュー)

以下の記事に協力しました。

ボランティア・市民活動情報誌『ネットワーク』352号,、2018年2月
<特集>
「情報」と「真実」の市民活動
 ◎巻頭インタビュー ポスト真実時代と市民社会 
  日比嘉高名古屋大学大学院 文学研究科 准教授)

https://www.tvac.or.jp/nw/

受付中★論文投稿者と学会発表者 東アジアと同時代日本語文学フォーラム

現在、東アジアと同時代日本語文学フォーラムでは、論文投稿者と学会発表者の募集をしています。
論文は2月17日が〆切。
発表者は、3月30日が〆切です。
詳しい要領は下記をご参照下さい。
https://eacjlforumweb.wixsite.com/eastasiaforum/blank-1

学会は上海の復旦大学2018年10月20-21日です。
特集テーマは「「レンタル」と近現代東アジア文化
基調講演は酒井直樹さんに内諾をいただいています!

マリヤンの本を追って──帝国の書物ネットワークと空間支配

日比嘉高「マリヤンの本を追って──帝国の書物ネットワークと空間支配」、河野至恩・村井則子編『日本文学の翻訳と流通──近代世界のネットワークへ』勉誠出版、2018年1月12日、pp.243-259

【概要】
第二次世界大戦以前の、内地外地を結んだ書物流通網は、どのようなものだったのか。本論では、中島敦「マリヤン」を横糸にしながら、ネットワークと空間に関する理論的な考察を行う。植民地支配下における「空間の生産」、ネットワークの複数性、均質化と差異化、異民族が出会う接触領域、抵抗のネットワークなどについて検討する。

この論考は以下の本に収められています

河野至恩さん、村井則子さんの編で、三つの軸をもつ論文集です。すなわち、(1)日本近代文学の欧米語への翻訳史の再検討、(2)日本語テクストにおける日本・東洋・アジアのイメージの形成、(2)20世紀前半の東アジア・東南アジアにおける文化テクストや書物の翻訳・流通。
個人的には、自分自身の関心に近い、

  1. ユートピアへの迂回路―魯迅・周作人・武者小路実篤と『新青年』における青年たちの夢」アンジェラ・ユー(A・ユー/竹井仁志 訳)
  2. 「ミハイル・グリゴーリエフと満鉄のロシア語出版物」沢田和彦
  3. 「日本占領下インドネシアの日本語文庫構築と翻訳事業」和田敦彦

の各論文に教えられるところが多かったです。
本は、2018年年明けぐらいから、書店に並ぶはずです。ぜひ。

http://bensei.jp/images/books/22682.jpg
bensei.jp

本年、新人小説月評(文學界)を担当します

f:id:hibi2007:20180109162401j:plain:w150:right今年一年、『文學界』の新人小説月評を担当することになりました。公私ともに、いろんな意味で、いま/今年これをやるのかよ俺は的な思いが去来しますが、せっかく与えられた貴重な場、貴重な誌面です。しっかりと全力で、現代作家の最前線の言葉に向き合おうと思います。

今月(一月号掲載作品)の対象作は、上田岳弘「愛してるって言ったじゃん?」山崎ナオコーラの「笑いが止まらない」(以上は『すばる』の特集「対話からはじまる」に収載)、そして水原涼の「積石」文學界)の3作でした。

文芸時評ってのは、どの作品にどれくらいの文字数で触れるのか、ってのがそれ自体で評価を示すものだと思うのですが、『文學界』の新人小説月評は、編集部から(原則として)作品の指定が来るので、その点で少し特殊でしょう。以下、拙評の出だしだけイントロとして貼っておきます。

 文芸作品というのは、私たちヒトがみずからとその周囲の環境に向けて張りめぐらしたセンサーの、そのもっとも敏感な部分の一つではないかと思っている。ある時代に書かれた小説をまとまった量で読み込んでいくときに浮上するのは、そうしたセンサーが触知した〈何か〉の輪郭である。
 文芸時評もまた、そうしたセンサーの一部であり、かつそうしたセンサー自体に自己言及していく、メタ・センサーのようなものだろう。仕事柄、一〇〇年前、八〇年前などの文芸誌をまとめて読むことがあるが、読み進めるにつれて浮かび上がってくるその時代の輪郭に、よりはっきりした姿を与えているのが文芸批評の言葉である。
 私のこの時評がその任を果たせるか、どうか。これから一年間、同時代のセンサーの網の目に身を投じることになりました。よろしくお願いします。

「フェイク・ニュースとポスト真実の時代」(名大アゴラ第12回セミナー)

FacebookTwitterでは紹介していたのだけれど、こちらには記載するのを忘れていました。明後日土曜日12月16日15:30~、@名古屋大学です。

2017年の流行語大賞にもノミネートされた(笑)2語をめぐってお話しします。ご関心ある方は、ぜひ。


「フェイク・ニュースとポスト真実の時代」


日比嘉高名古屋大学人文学研究科准教授・日本文学)

2017年12月16日(土)
15:30~17:00(開場:15:00)
名古屋大学 東山キャンパス アジア法交流館2階レクチャールーム2
http://cale.law.nagoya-u.ac.jp/access/
*地下鉄「名古屋大学駅」1 番出口より徒歩5 分


 嘘を付き続ける政治家が当選し、虚偽の主張を掲げた党派が勝利し、フェイク・ニュース(デマ・ニュース)がネットで拡散する。嘘が、嘘だと露見しても、相応の報いを受けることなく事態は続くーー。
 こうしたことが日本だけでなく、さまざまな国で起きています。真実がかつてのような力を持ち得なくなってしまった時代、それを「ポスト真実」の時代と呼びます。この言葉は、イギリスのEU離脱の国民投票の際に注目度が上がり、アメリカでトランプ大統領が選出された選挙戦のなか、そして選出後の騒ぎの中で脚光を浴びました。日本の状況もまさにその真っ只中と言えるでしょう。
 なぜ嘘がまかり通るのか。このセミナーでは現代のネット環境や、事実軽視の風潮、感情が優越する状況、社会的な分断の感覚などに注目しつつ、その背景を探ります。またあわせて、騙されないため、分断を乗り越えるための現代的リテラシー(読み書き能力)についても考えます。

nu-anti-war.wixsite.com