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日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

あじさいとふうせん

番外:子育て

f:id:hibi2007:20160621013147j:plain:w200:rightあじさいはふうせんのゴムのにおい
と子どもがいう。
鼻を寄せ
青々とした匂いの輪郭をなぞると
つんと、たしかに
ゴム風船をくわえた時の
そのにおい。

あじさいとふうせん。
 すうと吸い、
 ふうと吐く。
水無月の小さな息を
あつめてひらく。

本当ですよ。みなさん、お試しあれ。

亀井秀雄さんの訃報

無駄話

仰ぎ見る方(かた)だった。著書や論文には、たくさんのことを教えられたと思っている。その質の高さ、視野の広さ、射程、厳しさ、どれも超一級だった。
ほとんど直接の接点はなかったけれど、唯一、私が2002年にUCLAに在外研究に行ったとき、わずか数日?滞在が重なった。そこでタイミング良く、家財道具を譲り受けたことが懐かしい。亀井さんは日本に引き揚げる直前で、私は滞在を始めた直後だった。
そのとき、拙著(『自己表象の文学史』)をお渡ししたが、あとから何かの御論文の参考文献に、それを挙げてくださっていた。うれしかった。ささやかな、自慢である。
ご冥福をお祈り申し上げます。

www.asahi.com

リポジトリで読めます→講演「踏みとどまること、つなぐこと―人文社会科学の意義と可能性」

紹介

昨年、高知大学でさせていただいた講演が、リポジトリで全文読めるようになりました。

「踏みとどまること、つなぐこと―人文社会科学の意義と可能性」(日比嘉高
高知人文社会科学研究、3号、2016、pp.55-66
http://hdl.handle.net/10126/6105

さまざまな「日本」の発音~音はもともと、国も文字も超えていた

無駄話

聞いてみて下さい。すごく面白いです。

www.youtube.com

蘇州とか、杭州の発音は、もう「じゃぱん」としか聞こえない。
そして客家語や福州の方言は、「にっぽん」にとても近い。

私たちは言葉というものを、国を中心に考えてしまいがちです。中国の言葉、日本の言葉、イギリスの言葉、というように。
また文字(表記)を中心に考えてしまいがちです。英語ではJapanと書き、中国語・日本語では「日本」と書く、韓国語では「일본」、というように。

けれど、言葉はもともと「音」が先にあって当然です。とくに固有名詞の場合。ユーラシア大陸の東海上に浮かぶ「あの国」を指すとき、東アジアの人々は「じゃぱん」~「やっぱん」~「りーぺん」~「りっぷん」~「にっぽん」~「いるぼん」などという、音のグラデーションのなかで、「あの国」を呼び習わしていたのでしょう。近代以降、西洋の商人や宣教師が、その音の連なりの中に入り、「じゃぱん」~「じゃぽん」~「やぱん」というつながりをさらに押しひろげていきました。

この動画を見ている(聞いている)と、国や文字が消してしまっている〈音の帯〉が、東アジアの陸と海をつなげ、さらにその先まで伸び、もう一度現れるかのようです。

読書会の案内『谷崎潤一郎のディスクール』

以下の通り読書会が開催されます。お知り合いにもどうぞご紹介を。

日時:5月22日(日)13:00~17:30
(※会終了後、18:00頃より懇親会を予定しております)

場所:同志社大学 今出川キャンパス 寧静館5F会議室
地下鉄烏丸線、烏丸今出川駅より徒歩3~5分)
https://files.acrobat.com/a/preview/46a06cc1-afa7-4750-802d-582cf72aaa18
今出川校地(今出川キャンパス)|大学紹介|同志社大学

(※日曜日なので、西門と正門しか開いていないと思います。北改札側の同志社大学直通の出口および北門は使用できませんのでご注意下さい。)

内容:日高佳紀著『谷崎潤一郎ディスクール――近代読者への接近』(2015年10月、双文社出版)
www.junkudo.co.jp


レポータ:坪井秀人氏(国際日本文化研究センター
     西野厚志氏(京都精華大学

★会場準備の都合がございますので、御出席予定の方はお手数ですが、【5月10日】までに以下の調整さんサイトにご記入下さい。どうぞよろしくお願い致します★

https://chouseisan.com/s?h=39ff19747fb840758365ff71ebc742ba

※予期せぬ出版社の都合により、御著書が大手書店の店頭以外では入手が難しくなっておりますが、日高さんにご連絡し、著者割引価格+送料でお送り頂くこともできます。ご希望の方はどうぞ日高さん(hidakay@js6.so-net.ne.jp)まで、遠慮なくご連絡下さい。
ジュンク堂丸善
谷崎潤一郎のディスクール 近代読者への接近/日高 佳紀 - 小説:hontoネットストア

谷崎潤一郎のディスクール 近代読者への接近/日高 佳紀 - 小説:hontoネットストア
でも、まだ注文は可能かもしれません。)

附属図書館の雑誌購読中止が、大学間格差を加速させる

大学はいま

www.j-cast.com

J-CAST は、高騰する電子ジャーナルの購読費の問題も、あわせて書くべきだった。関連企業の商売のあこぎさも、あわせて。

阪大図書館においてさえこうである。いわんや他大学においてをや。図書館予算を逼迫している原因の一つは巨額の電子ジャーナル購読費にある。紙・電子ともに、必要な雑誌記事は複写サービスでも取り寄せられるが、自分の大学内で「アクセス権/環境」があるかどうかは、教育研究環境の質に大きく関わる。論文データベースで検索してから、実際にその論文を入手するまでの、手間と時間が、まったく異なるからである。その一手間、その数日が、研究の速度・能率・意欲を微妙に、しかし長期的に押し下げる。

大学間の図書館格差が開きすぎた米国では “他大学のデータベースにアクセスさせてもらうための出張助成金” さえあるという。日本もそうなっていくのか。(以前書いたこちら「デジタル化と大学図書館の未来──横田氏講演の感想メモ - 日比嘉高研究室」参照)

大学間の格差を是認し、助長さえしている文科省の政策は、こうして学生や教員の身近なところでボディーブローのように効き、劣勢に立たされた大学をさらに下へと追いやっていく。



追記:

この話、思わぬ続編が出た。
www.asahi.com

大阪大と箕面市は12日、外国語学部がある箕面キャンパス(箕面市粟生間谷東8丁目)を2021年春、北大阪急行線が延伸する船場東地区に移転させることで正式合意した。新キャンパスには教育研究施設に加えて学生寮も整備し、大学の図書館には市立図書館の機能も持たせるという。

また、市が教育研究施設の近くに図書館や生涯学習施設を建設し、大阪大が管理・運営を引き受ける。この図書館は学生と市民が利用できるようにし、大学図書館と市立図書館の両方の機能を兼ねるという。

http://www.asahi.com/articles/ASJ4D5JTMJ4DPPTB00Q.html

「新キャンパス〔の〕大学の図書館には市立図書館の機能も持たせる」って、絶句。役割も蔵書の質も違いすぎる…。専門雑誌の購読を止めて、同じベストセラー小説を20冊入れたりとかするのだろうか?

名大アゴラ 第1回 大学の〈知〉の現在を考える

紹介

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nu-anti-war.wix.com

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