日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

出口智之編『汽車に乗った明治の文人たち 明治の鉄道紀行集』

教育評論社、2014年1月

汽車に乗った明治の文人たち―明治の鉄道紀行集

汽車に乗った明治の文人たち―明治の鉄道紀行集

まず、表紙の横川駅構内の写真にしびれる。地を這う水蒸気が線路を覆い、低い駅舎の間に、機関車・客車が身を横たえている。そして背後にそびえる碓氷峠。かっこいい。。

鉄道を描いた文学作品のアンソロジーは少なくないが、明治中期の紀行文から材料を引き出してきた本は、私は知らない。幸田露伴を中心とした、この時期の文学の専門家である出口さんならではの、そして「読み鉄」を自認する(とあとがきから読める)出口さんならではの、一冊である。

注釈、作家紹介、鉄道紹介、図版、どれも高質で、行き届き、そして愛に溢れている。さすがです。

明治紀行文に関心のある方、明治の交通史に関心のある方、もちろん若干鉄分の多い方にも、お薦めです。

表紙、目次、出口さんの紹介などは版元教育評論社のサイトでご覧下さい。
http://www.kyohyo.co.jp/publication/publication_071.htm