著作権保護が実は本の消失に手を貸しているんじゃないか、という記事
TPPの議論の範囲内に、著作権の延長問題が含まれているということで、諸方で議論が起こっているようです。たまたまFacebookでマイケル・ボーダッシュさんに面白い記事を教えてもらったので、以下、骨子を訳出しておきます。
主に米国の出版状況をもとにした分析のようですから、そのまま日本に当てはめられない部分もあるでしょうし、分野によっても結果が異なりそうですが、重要な論点となる、興味深いデータおよび分析です。
われわれの集団的記憶の穴――著作権がいかに20世紀半ばの本を消失させているか
The Hole in Our Collective Memory: How Copyright Made Mid-Century Books VanishRebecca J. Rosen
The Atlantic
Jul 30 2013
ソース:http://www.theatlantic.com/technology/archive/2013/07/the-hole-in-our-collective-memory-how-copyright-made-mid-century-books-vanish/278209/
- 標記の記事はイリノイ大学のPaul J. Healdの論文の紹介。Healdの元論文は、「How Copyright Makes Books and Music Disappear (and How Secondary Liability Rules Help Resurrect Old Songs)」。「いかにして著作権は本と音楽を消しゆくか(そしていかに間接侵害責任ルールが古い曲の復活を助けているか)」
http://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2290181
(日比はまだ未読)
- (Healdの調査は、Amazonのデータをクロールして、ランダムサンプリングしたものをカウントしているらしい。)
- 引用した図版はPaul J. Healdによる。「アマゾンで入手可能な本の年代毎の試算」
- 「作品は制作され所有化されるとすぐに公衆の面前から消え、そしてその所有権が消えてパブリック・ドメイン(公衆の所有)となったとき、その数を大幅に増やして再出現する」(Heald)
- たとえば、2000年代に出版された作品よりも、1910年代に出版された作品の新版の方が手に入れやすかったりする。
- (記事は途中、論文が、「違う版」をどうカウントするか、とか、出版点数の母数が違うから単純に比較できないよね、とかいう点を修正していることを紹介。割愛する)
- 結論。著作権擁護派は、長らく(そして成功裡に)次のことを主張してきた。《本の著作権を守ることは、権利所有者が知的財産から利益を得ることを確実なものとする、また利益によるインセンティブが本の入手しやすさと適切な流通とをたしかなものにしている。》 だが、事実は、そうではない。
http://www.theatlantic.com/technology/archive/2013/07/the-hole-in-our-collective-memory-how-copyright-made-mid-century-books-vanish/278209/
- (詳細を知りたい方は、ぜひ原文および元論文をお読み下さい。)