日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

在外の友人へ

お見舞いのメールをありがとうございます。

名古屋は、まったく大丈夫です。ご心配、ありがとうございました。

ただ、最近になって影響が出てきていることがあります。身近なところでは、留学生や、その予備軍の留学志望者たちの動向です。一時帰国をしたり、場合によっては留学を取りやめたりしはじめています。ここ名古屋でも、そうです。

このタイミングで日本に子供を送っていたり、送ろうとする親たちの気持ちは、よく想像できます。

しかし、情報が正確に伝わっていない、とも一方で思っています。日本は、地震や火事はもうまず大丈夫ですし、原発も、本当に危ないエリアは限られています。

日本の状況や社会、地理、人々の振るまいに詳しいあなたにお願いしたいのは、できるだけ正確な日本の現状を、ぜひ周囲に伝えてほしいということです。

知識があやふやな人々にとって、外国の内部が十把一絡げに見えてしまうことは当然だと思います。でも、本当はそうではない、なお危険なところもあれば、そうでないところもある。ありうべき危険も、きちんと守るべきことを守れば、避けることができる。いたずらに物事を心配しすぎたり、控えたりする必要はないのだ、ということを伝えて欲しいと思います。

私の見聞きした留学生のことは些細なことかもしれませんが、さまざまなところで同種のことが起こっているはずで、それがじわりと見えにくい形で、復興していく日本社会の足を引っぱるかもしれません。

知りうる限りで正確な日本の状況を、周囲の人々に伝えること。それが、在外の知日派の人にできる、一つの支援の形だと私は思っています。

よろしく、お願いします。ではまた、日本かそちらでお会いできるのを楽しみにしています。


2011.3.30 日比嘉高