内田魯庵『社会百面相』のエピグラフのこと
いま、魯庵のことをちょっと調べながら書いているのですが、判明した小ネタを一つ。
『社会百面相』には冒頭に英文のエピグラフがあるのですが、その出典はこれまで不明だった(私の先行論調査に見落としがなければ)。以下のもの。
.....Look at with an indifferent eye, and lo! there is none; hold it up to the light, and you can not peceive it; but rub it over with your own spirit of acid, and see how......
これは、イギリスの作家Edward Lytton Bulwerの"The Disowned"という作品の一節である。
どうやってわかったか。google ブックスで検索したのである・・・・(笑) 一発だった。「ん? もしかしてこれ検索したら出てこない?」と思ったら、案の定だった。
書きたかったのは、出典が解ったよ、ということより、こういう出典調べにおいて、このツールがものすごく役に立ってしまうということであった。これまで、読んでいかないと知りようがなかった(つまり、ものすごく時間も能力も必要だった)レベルのことが、簡単にできてしまうのだなぁ、と。デジタル・アーカイブ化の威力が、身に沁みた経験であった。
ちなみに、ロード・リットンは明治期からいくつか翻訳が出ていた人気作家ということで、魯庵が読んでいてもぜんぜん不思議はない。孫のヴィクターはリットン調査団の団長さんである。
このエピグラフの出典問題、これ以上突っ込んで考えるかどうか・・・ うーん。こんなところに書いたということは、あまりその気がないか、私・・・?