さまざまな「日本」の発音~音はもともと、国も文字も超えていた
聞いてみて下さい。すごく面白いです。
蘇州とか、杭州の発音は、もう「じゃぱん」としか聞こえない。
そして客家語や福州の方言は、「にっぽん」にとても近い。
私たちは言葉というものを、国を中心に考えてしまいがちです。中国の言葉、日本の言葉、イギリスの言葉、というように。
また文字(表記)を中心に考えてしまいがちです。英語ではJapanと書き、中国語・日本語では「日本」と書く、韓国語では「일본」、というように。
けれど、言葉はもともと「音」が先にあって当然です。とくに固有名詞の場合。ユーラシア大陸の東海上に浮かぶ「あの国」を指すとき、東アジアの人々は「じゃぱん」~「やっぱん」~「りーぺん」~「りっぷん」~「にっぽん」~「いるぼん」などという、音のグラデーションのなかで、「あの国」を呼び習わしていたのでしょう。近代以降、西洋の商人や宣教師が、その音の連なりの中に入り、「じゃぱん」~「じゃぽん」~「やぱん」というつながりをさらに押しひろげていきました。
この動画を見ている(聞いている)と、国や文字が消してしまっている〈音の帯〉が、東アジアの陸と海をつなげ、さらにその先まで伸び、もう一度現れるかのようです。