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日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

戦前外地の書物取次――大阪屋号書店、東京堂、関西系・九州系取次など

『Intelligence』20世紀メディア研究所、16号、2016年3月31日、pp.134-148

本研究は科学研究費補助金(基盤研究(C)、課題番号15K002244)によるものである。

[要旨]

戦前の外地向けの書籍取次として著名なのは大阪屋号書店であり、その役割は大きなものがあった。ただ外地と内地を結ぶ書物流通が、大阪屋号書店によってのみ語られてきたという傾向がある。この論文では、大阪屋号書店の役割を再考しつつ、同じように外地と内地を結んで活躍した書籍取次商たちの活動を追いかけた。論文では、まず大阪屋号書店とその創立者濱井松之助、跡継ぎである濱井弘について、できるかぎり足跡を追った。さらに、元取次最大手の東京堂が外地においても大きな力を有していたこと、三省堂丸善がそれぞれ独自の支店網・取引網を広げていたこと、準大手の東京・栗田書店や、柳原書店等の関西系や菊竹金文堂および大坪書店といった九州系の大書店兼取次業者も外地において大きな商売を行っていたことを確認した。また大戦中には軍との連携のもとで、書店の外地進出も行われていたことを指摘した。


[title]
The Circulation of Books Between Japan and Its Overseas Territories Before World War II: Ōsakayagō-shoten, Tōkyō-dō, and Book Distributors in Kansai and Kyūshū.

[abstract]

Ōsakayagō-shoten was the foremost book distributor of the prewar period, covering most of Japanese overseas territories. Although there is no doubt that the company played a significant role in the book business, other distributors of the same era and their activities are often ignored. In this paper, I shed light on these other companies, and rethink the role of Ōsakayagō-shoten. First I trace Ōsakayagō-shoten’s history and its founder, Matsunosuke Hamai, as well as his son, Hiromu. Then I examine the other companies, such as Tōkyō-dō, Sansei-dō, Maruzen, and Kurita-shoten in Tokyo, Yanagihara-shoten in Osaka, Kikutake Kinbun-dō in Fukuoka, and Ōtsubo-shoten in Saga.

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