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日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

最近いただいた本と雑誌

上海から帰ってきたら、いろいろ届いておりました。ありがとうございます。コメントは例によって後日で、まずはタイトルのみ先行紹介です。

戦後前衛映画と文学: 安部公房×勅使河原宏

戦後前衛映画と文学: 安部公房×勅使河原宏

(2012.4.15追記)友田さんからいただきました。タイトルの通り、安部公房勅使河原宏の「協働」の軌跡を追う論文集。みずからの足と人脈で集めた資料に基づいて、両者の交流と活動を詳細に記述しています。これまでの研究が空白にしてきた部分を埋める良書と思います。
 私の卒論は実は何を隠そう安部公房の「燃えつきた地図」論。この前ファイルを見つけて読み返しましたが意外に面白いです(おいおい)。いや私の卒論なんでどうでもいいのですが、友田さんの「燃えつきた地図」論を拝読し、文学研究者の視点がいかに安部の試みの一面をしか見ていないのか、痛感させられました。文学と映画の接点をどう論じるかという観点からも勉強になります。
カバー写真は、友田さんご自身の撮影。砂と水の境界を収め、その鏡像で挟み込むデザインは、まさに安部公房の世界ですね。

『時事新報』大正期復刻版 解説
監修:池内輝雄・奈良岡聰智
柏書房
2012年1月

池内先生よりいただく。ご労作の『時事新報』文芸欄総目次につづいての復刻版関係のお仕事。細かく時間のかかる仕事からつい逃げたくなる自分は、ただただ恥じ入る。

『大正文学論叢』第1号
発行:明治大学大学院宮越ゼミ
2012年2月

宮越さんよりいただく。大学院生のみなさん総勢22人の方が寄稿している。大正期だけでこれだけ並ぶと圧巻。せっかくだから関係者の方は目次ぐらいネットに載せるとよいと思うのだが・・・ 宮越さんの序は、その世代の立教大学の雰囲気が知られて興味深い。辻邦生蓮實重彦本多秋五前田愛平野謙に小田切進に、教わったとか。私のような地方国立出の人間には想像を絶する環境。
 個々の研究論文については、これから読ませていただきます。

近代文学の古層とその変容

近代文学の古層とその変容

(2012.4.15追記)高橋広満さんから頂戴しました。森?外の「山椒大夫」から説教節、大嘗祭、藤村の「破戒」と十二支、物語の定型、三島由紀夫の「橋づくし」、しんとく丸/身毒丸寺山修司折口信夫大塚英志森美夏「木島日記」、柳田国男夏目漱石田山花袋川端康成、北条民雄、井伏鱒二太宰治安岡章太郎――。次から次へと繰り広げられる考察の連鎖は、高橋さん自身の研究手法そのものも体現しているように思えます。猪子蓮太郎と瀬川丑松(「破戒」)の猪と牛を起点に横に縦に広がっていく、必ずしも緊密には連携しないけれど、へぇなるほど、という知識と省察の連鎖が、この本の魅力ではないでしょうか。なかなか私には縁の遠かった作家、文学者たちについての考察も多く含まれていて、じっくり勉強せねばという一冊です。