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日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

最近いただいた本

リービ英雄―「鄙」の言葉としての日本語

リービ英雄―「鄙」の言葉としての日本語

笹沼氏よりいただいた(院が同門なんです)。リービ英雄について書かれた論考は少なくないが、単独の作家論としては初めての著作物になるのではないだろうか。

作品の発表順を原則的に追って、その時代状況をあわせ、読み解いていく。関連資料や作者の発言も丁寧に追われていて、笹沼氏の前著のスタイルによく似て、平易でかつよく調べられた考察になっている。

もう一つの特徴は、笹沼氏自身の、台湾の大学で日本語・日本文化を教える教員としての経験やパースペクティヴが織り込まれているということだ。それは、リービ英雄のような「越境者」の言葉を読み解くためには、非常に重要かつ面白い視点だろう。

リービ英雄については書きたいことがあって、授業や講演で話したりもしていたので、先を越されてくやしい(笑)

原爆文学研究 第10号
http://www.genbunken.net/kenkyu/kenkyu.htm#dai10gou

川口隆行さんと柳瀬善治さんよりいただいた。
『原爆文学研究』も第10号である。今回は通常の論文の他に、エッセイの特集として「原爆文学研究会一〇年――これまでとこれから」が組まれ、1〜10号までの総目次も付され、充実した一冊となっている。

第10号のすべてに目を通したわけではないが、2011年以降の日本で原爆、核について語ることは、これまでとは異なるアクチュアリティを持つことになる。直接的にフクシマに言及する論者もしない論者も、それぞれに考えるところがあるようだ。

川口さんの論考は、大田洋子の「夕凪の街と人と」を論じたもの。概括化し、均質化する見取り図・語りを許さない姿勢は、我々の「現在」への問題提起とからみあっていて、読ませる。柳瀬さんの論考は、またもや博覧強記の縦横無尽ぶりで「20世紀表象史」を横断してみせる。注の数、実に126。雑誌論文とは思えない(笑) 配置されたキーワード群のインデックスとしても読める論文で、勉強になる。