日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

最近いただいた本 その2

思いっきり身内が関係した本なので恐縮だが、いいシリーズなので紹介。岩波が出している「占領期雑誌資料大系」(プランゲ文庫から資料を集めている)の新刊で、文学編のIVである。第一章の「対談・座談会」の解説および解題を天野知幸が担当。このシリーズはかなり網羅的に雑誌を見て俯瞰しているので、占領期の風景を見渡すためにはいい足がかりとなる。




太宰治スタディーズ」3号、2010.6 
総特集=『晩年』前後、小特集=『晩年』生成とメディア

目次は以下のリンク先で見られます

http://d.hatena.ne.jp/d-studies/

斎藤理生さんよりいただく。200ページ近いボリュームで、密度も濃い。まだ拾い読みの状態だが、『晩年』を論じた論考の特集だけでなく、メディアとの関わりを論じた小特集の方も、勉強になる。


いま、こういう「研究同人誌」的なのって、どれくらいあるんだろう。10種類ぐらいあるんだろうか。『芥川龍之介研究年誌』とか『論調』とかは知っているけれど。『私小説研究』は休止のよう。『problematique』も休止か終刊かだっけな。

同人誌の発行はお金がかかるので、ネットだけとかDVDで出す、というのもありうる。ただし、こうやって手元に「モノ」としてもらうと、やはり存在感が違うなぁと思う。たとえば太宰スタディーズがネット雑誌だったとして、「新刊でました」と、URLを教えてもらったとして・・・。ちゃんと読むだろうか。すぐその存在も忘れてしまう気がするし(^^; 
 ただし、全文検索ができるだろうから、ネット雑誌は、対・検索サービス的にはものすごく強いだろうな。結局、「被引用数」は後者の方が上がるかもしれない。(コピペもメモも容易だしな…)

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予告。「最近いただいた本3」は高榮蘭さんの『「戦後」というイデオロギー』。読むのが楽しみな一冊である。