日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

翻訳と感化の詩学──「野分」の人格論をめぐって── 




『国文学 解釈と教材の研究』第46巻第1号、2001年1月、pp.118-125



[紹介]

夏目漱石「野分」の登場人物白井道也が展開する『人格論』は、漱石自身の思想と重ねて考えられることが多い。これに対し、同時代の〈人格〉をめぐる言説の水準と照らし合わせることの重要性を指摘し、具体的な資料をもとにその異同を確認した。「野分」は、当時の修養論系の人格論を援用しつつも、それを相対化する視点を含んで小説化されている。