日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

日露戦後の〈自己〉をめぐる言説――〈自己表象〉の問題につなげて――




『日本語と日本文学』第30号、2000年3月、pp.29-42


[紹介]

日露戦後の文芸評論界に見られる〈自己〉論の隆盛を分析する。そこに現れた言説群を「自己の文芸論」「自己の描写論」「自己の探求論」の3種に分類し、その特徴や背景について考察。さらにこうした評論壇の言説が、小説ジャンルにおける〈自己表象テクスト〉の形成過程と絡まりあってゆくようすを明らかにし、〈自己表象〉の持ち得た二つの機能――アイデンティティ形成とイメージ闘争――を指摘する。

“自己表象”の文学史―自分を書く小説の登場に収録しています。