日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

帰国直後の永井荷風――「芸術家」像の形成――



『日本語と日本文学』第26号、1998年2月、pp.21-33



[紹介]

 一人の作家の「イメージ」がどのように形成されたのか、永井荷風を例にとって考える。アメリカ・フランスでの生活を終え明治41年に帰国した荷風は、当初は無名の青年作家だった。その荷風自然主義文壇の中で特異な位置を占める有望作家として立つまでの過程を、作品中に見られる芸術家像と、作者である彼自身のイメージのオーバーラップから追う。

“自己表象”の文学史―自分を書く小説の登場に収録しています。