日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

最近いただいた本 その1

もはや、御礼ができていません、とか、紹介が遅れています、とか、言い訳できるレベルではないですが、とにかく御礼をかねてここにご紹介します。漏れがあるかもしれません。ひとえに、私の部屋が片付いていないのが原因です。。

たくさんありまして、記事を分割します。記事を準備している途中にも追加が数冊来て、永遠に公開できない気がしてきましたので orz...


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九州大学と韓国・釜慶大学校、韓国・東義大学校・中国・華東師範大学の教員が参加する「近現代文学と東アジア」研究会の、「なかじきり」の報告書。文学の論文だけでなく、大学での実践報告や、大学改革をめぐる状況のレポートなども含まれる。韓国の大学が今直面する「特性化」の話を読むと、大学を囲む状況はどこも似通っているとあらためて思う。

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京都の伝説的喫茶店「ほんやら洞」をめぐる68名の回想録。私自身は好み背に縁もゆかりもないけれど、回想録はなぜかどれも楽しく読める。不思議なものだ。隣の芝生は青いというが、人の過去の文化体験はうらやましい。芸術化と学者と学生とよくわからない人とが混ざり合える場所は、やっぱり文化が分厚い都市にしかない。京都はやっぱりいいね。

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憲法、教育、アベノミクス、外交、TPP、秘密保護法、などなどなど、批判的な観点から、「安倍政治」を検証する章が並ぶ。岩波の本だけあって、たんなる批判を声高に叫ぶだけの文章が並ぶものとは異なる。自分自身問題を感じているところについては多少の知識はあるものの、しらない領域の方が多いので、勉強になる。とりわけ、菅原琢
氏の投票動向や世論調査の分析には、教えられるところが多かった。

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勉誠のアジア遊学シリーズとして出されている。谷崎の没後50年を記念して上海で行われた国際シンポジウムをもとにした論文集。「中国体験」に焦点を当てているところが、谷崎単独ではなく、近代文学研究全体の、最近の研究動向に沿ったものといえるかもしれない。冒頭の座談会の他、秦剛さんの論考が、中国の文学者との交流に焦点を当てている。

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震災など災厄についての、著者のアクチュアルな関心に貫かれた論考集。基本的には文学の論文集だが、第一部はとくに理論的な考察と、自分自身の立ち位置を粘り強く追う論述が主調となっている。ナンシーの分有、ジジェクの9.11を経由した主体論、アガンベンの例外状態論が参照されている。第二部は関東大震災時代を扱った論考群。とくに連載小説(の中断と再開)を視座にしていて、興味深い。