日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

あいちトリエンナーレに子連れて行って思ったこと

あいちトリエンナーレ愛知県美術館会場に行ってきました。

f:id:hibi2007:20160919154008j:plain:right:w180子連れで楽しめる工作コーナー(ダミコ・ルームとかキャラバンファクトリー)があって、そこが今日のお目当てでした。無料でありました。簡単な工作を親子でできるところがあったり、ゲーム感覚で素材や色や見え方のいろいろを体験するコーナーがあったりと、面白いので、近郊の子育て中の方には、おすすめです。

時間が少し余ったので、10階の展覧会の方も見て来ました。

インスタレーションは、予備知識なしで行くと正直あまりピンとこないことが多くて、まあついでに、という程度での気持ち(すいません)で入ったのですが、今回発見したのは、子連れで現代美術観賞は、けっこう面白いかも、ということでした。

子連れで行くと、

  • 「難しく考えよう」とそもそも思わない(思ってられない)
  • 面白いところと、すっ飛ばすところのメリハリがすごい
  • 引っかかるポイントを、子どもが作ってくれる
  • 子どもに「翻訳」しようとする過程で、頭がほぐれる
  • 子どもの反応を見て、見方の「解」の一つを知る

というようなメリットがあります。

f:id:hibi2007:20160919154533j:plain:left:w180 たとえば、小さな飛行機があって、翼が一つ取れていた。そこまでは私も気づいたけれど、子どもは少し先に行った人形がその翼を持っていることに気づいた。おー、すげー、おもしろい、ここにストーリーが!みたいな発見とか。

裸足になって入った部屋の、真っ白な廊下で、うれしくなってくるくる回り始めた子ども。反応が身体表現ですぐに出てくる。そうそう、そういう浮遊感とか、ふわふわ感とか、くるっとまわりを見回したくなる感じとか、制作者は出したかったんだろうね、みたいな。


また、トリエンナーレはお祭りなので、ちょっと観衆の雰囲気がゆるいのもあって、子連れでもあまりピリピリしなくてすみました。ほっておくと触りそうになるので、監視はしつづけましたけれども。


上記、美術展の見方としては変則的ですし、きちんと作品に向き合えなかった展示も多いので、その点申し訳ない次第ですが、個人的には新しい発見でした。


あいちトリエンナーレは、10月23日までやっています。色んな会場があるようです。1800円のチケットで、通しで各会場1回ずつ行けるようです(無料のところもけっこうあります)。肩肘張らず、行くと面白いと思いますよ。


公式サイトは、こちらです。あいちトリエンナーレ2016

憲法判例からみる日本──法×政治×歴史×文化

日本評論社、2016年9月20日。担当・山田哲史との共著「小説はプライバシーを侵害するのか──「宴のあと」事件」pp.1-20

まさか自分がこういうタイトルの本に関わるとは思わなかった!という1冊が出ました。

憲法判例×歴史」研究会の成果をまとめた本です。もちろん、憲法学系のみなさんの研究会。私はそこに「歴史」担当の一人として、1回呼んでいただきました。

担当部分は山田哲史さんとの共著で、私は文学・文化史のところを書きました。内容的には、既発表の拙論2本がもとになっていますが、チーム・読者が違うと、やっぱり書きぶりや力点の置き場も変わります。法律については素人の私ですが、議論の架橋をどう行うか、いろいろと試行錯誤をしました。勉強になりました。あらためて、山田さん、そして研究会の皆さんに感謝です。

他の章も、君が代起立斉唱事件、東大ポポロ事件(学問の自由・大学の自治)、砂川事件統治行為論)など、興味深いトピックが並びます。詳細目次はリンク先より。ぜひ!

www.nippyo.co.jp