日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

「情の時代」に棹を差す──あいちトリエンナーレ2019、毒山凡太朗、タニア・ブルゲラ、大浦信行、袁廣鳴

『JunCture』11号、2020年3月、pp.186-189 あいちトリエンナーレ2020のレビューです。以下から全文がご覧いただけます。doi.org

Google翻訳 vs みらい翻訳 vs DeepL翻訳:日本語論文の英文要旨を訳させてみた

最近の機械翻訳の進歩は本当にすごい。以前「みらい翻訳」を試してみて、その精度におののいたのですが(「みらい翻訳」を使って仕事をしました。(使用感) - 日比嘉高研究室)、先日来、DeepL翻訳という新手のサービスが登場して話題になっています。gigaz…

台湾・新高堂書店 村﨑長昶―事跡と回想録 全1巻

金沢文圃閣から、以下の編著を刊行しました。 台湾・新高堂書店村﨑長昶──事跡と回想録(文圃文献類従75) 村﨑長昶 著 日比嘉高 編・解題 金沢文圃閣、2020.1、246頁 年譜あり ISBN 9784909680624 価格 16800円 村﨑長昶は、戦前の台北市にあった最大の日本…

紹介・書きました)専門家を軽視し、不安を利用する日本の政治…新型コロナが示したこと

現代ビジネスに、以下の記事を書いています。「専門家を軽視し、不安を利用する日本の政治…新型コロナが示したこと」 gendai.ismedia.jp

菊と少女:あいちトリエンナーレ2019 振り返りPart 3 終

10月13日 キュレーターの方が雑談の中で言っていたことが気になっている。〈菊タブー〉は大きいですよ、慰安婦の問題と天皇の問題は一緒くたにできないと、再開された「表現の不自由展・その後」の抽選券を求めて並ぶ人々の列を見ながら、その人は言った。そ…

タニア・ブルゲラ《10,148,451》:あいちトリエンナーレ2019 振り返りPart 2

8月5日 手に押されたのは、2019年の難民の数――生き残った人々と亡くなった人々の。スタンプの数字はタニア・ブルゲラ Tania Brugera の作品《10,148,451》の仕掛けの一部である。作品の鍵は「強制的な共感」。ブルゲラの作品を見る前、会場の別の作品を見て…

毒山凡太朗《君之代》:あいちトリエンナーレ2019 振り返りPart 1

「あいちトリエンナーレ2020」についての小文を頼まれておりまして。以下は、その準備運動、もしくはロングバージョンです。 10月9日 あまり期待はしていない、いやもっといえば警戒心の方が先に立っている。駐車場に車を止めて、円頓寺の商店街を歩く。台湾…

2019年の論文・記事まとめ

2019年1月~12月に発表した論文や記事など。こう振り返ると短いのが多い。このあと3月ぐらいまでに、いくつかまた印刷されて出て来る予定です。そいつらは、長いやつ。あと他にもいろいろ書いていた体感があるんですが、それは発表原稿だったようです。 論…

発表者募集 2020年 東アジアと同時代日本語文学フォーラム 第8回 バリ大会

発表者の募集を開始しています。2020年 東アジアと同時代日本語文学フォーラム 第8回 開催地:インドネシア・バリ島 ウダヤナ大学ほか 日程:10月16日(金)、17日(土) 応募〆切:3月15日(日)詳細は以下のページをご参照下さい。eacjlforumweb.wixsite.com

今年度の研究発表まとめ

今年度は特に後半がデスロードだった(というか、いまも道半ば)ので、その道程を記しておこう。 Japanophone Literatures and Books: materiality, distribution networks and immigrant writers., "Japanese Diaspora to the Americas: Literature, Histor…

久々更新ついでの駄弁

この前、思わぬ方から「ブログ読んでいます」と言われ、恐縮したのである。最近はもっぱらTwitterに投稿しており、ほかの元ブロガーの方々と同じように、Twitterでこまめにガス抜きすると、ブログを書くエネルギーがなくなるという循環になっております。 が…

草の根の表現の自由のため

『中日新聞』2019年11月8日、夕刊 あいちトリエンナーレ2020に関係する記事を、『中日新聞』の夕刊に書きました。

エリートの嘆き節をどう越えるか──専門家と市民の絆の結び直しを

『週刊読書人』第3310号、2019年10月11日 トム・ニコルズ著『専門知は、もういらないのか 無知礼賛と民主主義』の書評です。以下から読むことができます。dokushojin.com

古市憲寿さんの「百の夜は跳ねて」と木村友祐さんの「天空の絵描きたち」に関して

日経新聞の以下の記事でコメントをしています。古市憲寿さんの「百の夜は跳ねて」と木村友祐さんの「天空の絵描きたち」に関して。芥川賞の選評が話題でした。以下補足します。>>「小説のオリジナリティーとは 芥川賞選評から考える 」『日本経済新聞』文化…

外交と天皇が憲法を越えるとき

いま、「外交」と「天皇」を理由に、現役の府知事が現役の県知事の辞職を求める超展開になっている。 www.asahi.com愛知県知事は、「憲法通りにやります」と言っている。 その県知事に対して、府知事は辞職を求めている。 辞職を求める根拠は「憲法の外」に…

幼児と戦車

本日、以下のようなニュースを見ました。 this.kiji.isたまたまこの前、息子が戦車のラジコンをほしいと言っていたのもあって、思ったことを書いてみます。 「はたらくくるま」と戦車 この手の「はたらくくるま」系の本は息子が幼稚園の頃何冊か持っていまし…

N国がなぜ議席を取ったのかまったくわからなかったので、色々見学してきた感想。

感想の結論から言うと、この党はもう少し国政や地方議会で議席を伸ばす気がする。(2019.7.23, 8:00, 追記・編集あり)(追記2 2019/7/24の朝日新聞によると、N国への投票者層(比例区)は次のような人々がコアらしいです。「男女比は男性68%、女性32%…

サイトの引っ越し 名古屋大学大学院 人文学研究科 日本文化学専門

学内のサーバの廃止に伴って、所属講座のウェブサイトが以下に引っ越ししています。 Googleではまだ新しいページがヒットしませんので、ここにリンクを張っておきます。jculture-nu.main.jp

(紹介)在朝日本人の文学に関する最近の研究 高麗大学の成果

かつて、植民地時代の朝鮮半島に住んでいた日本人=在朝日本人による文学活動というのがありました。ここのところ高麗大学の日本文学研究系の人たちが、大きな研究費を取って継続的にこのジャンルについての研究を行っていることは、間近で見て来ました。先…

(コメント出演)中京テレビ キャッチ

5月30日、中京テレビの「キャッチ」という番組に、短いコメント役で出演しました。 SNSで「いいね!」が買われている問題について。

「みらい翻訳」を使って仕事をしました。(使用感)

ちょっと前の紹介Tweetが予想外に出回ってしまったので、責任?を感じまして、ちょいと使用感について書いておきます。話題の #みらい翻訳、まじですごい…。Google翻訳よりずっといい。訳あって英文の原稿を用意しているが、完全に私のヘボ英作文を凌駕。こ…

高校国語科の曲がり角 ──新学習指導要領の能力伸長主義、実社会、移民時代の文化ナショナリズム

『現代思想』第47巻7号、2019年5月、pp.114-123 この論考では、現在進行中の「改革」によって変わろうとしている国語科の姿を確かめ、批判的に検討した。具体的に取り上げたのは、2018年に公示された高校国語の新学習指導要領である。節題は以下の通り。1.…

新紙幣登場についてコメント(東京新聞)

新紙幣の件で、東京新聞でコメントをしています。 「不遇の二千円札 触れたくない「危険物」」東京新聞、朝刊、2019年4月10日、25面 ちょっと勢い盛られてる感じがするけど、まあ、、、はい。文学者が消えたことを嘆く文学研究者的なアレ。

メールアドレスの変更について

所属組織のメールサーバの運用変更により、この3月で日比の大学メールアドレスが変わります。今後の連絡先については、下記をご覧下さい。park18.wakwak.com

最近頂戴した本 4冊

Twitterでも紹介しましたので、以下貼ります。省力モード。恵贈感謝★黒田 俊太郎『「鏡」としての透谷──表象の体系/浪漫的思考の系譜』翰林書房2018ぱっと目、北村透谷についてのしぶい内容にも見えるのだけど、実はのっけからメルロ・ポンティの「鏡」の議…

文化資源とコンテンツを文学研究的に論じるための覚え書き――文豪・キャラ化・参加型文化

日比嘉高、『横光利一研究』17号、2019年3月、pp.63-74、研究展望 日本近代文学館で行われている「新世紀の横光利一」展に合わせて、『横光利一研究』(17号、2019)が刊行されています。特集は「文化資源(コンテンツ)としての文学」。私は次の研究展望を…

遅すぎる子供と早すぎる大人

息子が遅すぎる 息子は小1になっているのだが、どうにも行動が遅い。着替えも遅い、食べるのも遅い、勉強を始めるのも遅い、遊びをやめるのも遅い。給食はクラスで一番最後に食べ終わり、プールの教室でも一番最後に着替え終わる。遅くなってしまう理由は色…

発表者募集 東アジアと同時代日本語文学フォーラム 2019 台北大会

東アジアと同時代日本語文学フォーラム 2019 台北大会 の個人研究発表・パネルセッション の募集が始まりました。特集は「海から見る東アジアの文学と文化」です。発表は、特集に関係したものでも、自由なテーマでもかまいません。詳細はこちらをご覧下さい…

私たちはかしこく、冷静でありたい。

朴裕河さんの言葉。「重要なのは、結果以上に対話自体である。対話が続く限り、過去の不幸な時間は克服可能だ。これ以上手遅れにならないうちに、いったい何が問題だったのか、この四半世紀の葛藤から振り返る必要がある。」www.huffingtonpost.jpこれまで以…

謹賀新年 今年のことと去年のこと 附・2018のお仕事一覧

あけましておめでとうございます。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。 年頭に際し、本年の抱負気味のことと、昨年の振り返りをしておきます。 2019年は ほとんど出す出す詐欺と化していた、モデル小説がらみの単著をまとめます(きっぱり)。 外地書店…