日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

論文

Inheriting Books: Overseas Bookstores, Distributors, and Their Networks

Yoshitaka Hibi. in PAJLS (Proceedings of the Association for Japanese Literary Studies), vol.19, 2019: 14-25. (published in 2021) アメリカ日本文学会の予稿集に掲載された論文です。戦前外地の書物ネットワークに、日本の大学改革の話が接続すると…

環境と身体をめぐるポスト・ヒューマンな想像力 ─ 環境批評としての多和田葉子の震災後文学

『日本学報』韓国日本学会、Vol.125、2020.11、pp.1~19 韓国日本学会の第100回大会シンポジウムで報告をさせてもらった多和田葉子論が、論文になりました。以下から全文が読めます。ご笑覧ください。(全文)環境と身体をめぐるポスト・ヒューマンな想像力 ─…

科研費採択課題を対象とした研究課題の計量テキスト分析──日本文学 の場合

「科研費採択課題を対象とした研究課題の計量テキスト分析──日本文学の場合」『社会文学』第52号、2020年8月、pp.89-100 私としては、初めての計量テキスト分析の論考、つまりコンピュータを用いて、テキストデータを量的・統計的に分析したものになります。…

「パンデミック小説の地図を書く」 すばる9月号

『すばる』第42巻9号、2020年8月、pp.144-151(9月号)、特集「表現とその思想、病をめぐって」 すばる9月号はコロナなど感染症と文学の特集です。私も「パンデミック小説の地図を書く」という拙文を書いています。これまで言及されるのは海外小説か、日本の…

統制経済と書物流通──帝国の国策書籍配給会社

『人文学研究論集』名古屋大学、第3号、2020年3月、pp.335-350 Title: Book distribution and the controlled economy: On the national book distributors of the Japanese Empire後日、以下の名古屋大学附属図書館のリポジトリで、全文が読めるようになる…

「満洲」の本屋たち──満洲書籍配給株式会社成立まで

『Intelligence』20世紀メディア研究所、第20号、2020年3月、pp.102-117 Title: Bookstores in Manchuria before the establishment of Manchuria Book Distribution Co., Ltd.和文要旨: この論考では、「満洲」における日本語書籍の小売史を考える。主たる…

2019年の論文・記事まとめ

2019年1月~12月に発表した論文や記事など。こう振り返ると短いのが多い。このあと3月ぐらいまでに、いくつかまた印刷されて出て来る予定です。そいつらは、長いやつ。あと他にもいろいろ書いていた体感があるんですが、それは発表原稿だったようです。 論…

高校国語科の曲がり角 ──新学習指導要領の能力伸長主義、実社会、移民時代の文化ナショナリズム

『現代思想』第47巻7号、2019年5月、pp.114-123 この論考では、現在進行中の「改革」によって変わろうとしている国語科の姿を確かめ、批判的に検討した。具体的に取り上げたのは、2018年に公示された高校国語の新学習指導要領である。節題は以下の通り。1.…

文化資源とコンテンツを文学研究的に論じるための覚え書き――文豪・キャラ化・参加型文化

日比嘉高、『横光利一研究』17号、2019年3月、pp.63-74、研究展望 日本近代文学館で行われている「新世紀の横光利一」展に合わせて、『横光利一研究』(17号、2019)が刊行されています。特集は「文化資源(コンテンツ)としての文学」。私は次の研究展望を…

外地書店を追いかける(8)──大阪、九州、台湾の共同販売所と大阪屋号書店満鮮卸部

「外地書店を追いかける(8)──大阪、九州、台湾の共同販売所と大阪屋号書店満鮮卸部」『文献継承』金沢文圃閣、30号、2017年5月、pp.11-15。 第8回、書きました。今回は戦前の内地/外地をまたいで起こった「共同販売」という、書物の流通改革のお話です。

図書館と読書の履歴をめぐる文学的想像力

『日本文学』日本文学協会、第65巻第11号、pp.51-61、2016年11月10日発行、特集「図書館と文学──保存・検閲・スキャンダル」 Title: "Library, Reading Record, and the Literary Imagination"表題の論文を書きました。要旨は以下のとおりです。[要旨] こ…

外地書店を追いかける(7) 台湾書籍雑誌商組合のこと

『文献継承』第29号、2016年10月、pp.4-6 今回の内容はこんな感じです(冒頭より) 内地と外地を結んだネットワークを考える際に、一つの重要なアクターとなるのが、外地の小売書店の業界団体である書籍雑誌商組合である。書店組合は、当該地の小売書店の利…

国際スポーツ・イベントによる主体化――一九三二年のロサンゼルス・オリンピックと田村(佐藤)俊子「侮蔑」

『名古屋大学文学部研究論集 文学』62、2016年3月31日、pp.245-253 後日、名古屋大学のリポジトリで全文が公開の予定です。[要旨] この論文では、田村俊子の短編小説「侮蔑」を取り上げ、オリンピックが日系二世たちにどのような受け取られ方をしたのか、…

戦前外地の書物取次――大阪屋号書店、東京堂、関西系・九州系取次など

『Intelligence』20世紀メディア研究所、16号、2016年3月31日、pp.134-148 本研究は科学研究費補助金(基盤研究(C)、課題番号15K002244)によるものである。 [要旨] 戦前の外地向けの書籍取次として著名なのは大阪屋号書店であり、その役割は大きなものが…

樺太における日本人書店史ノート――戦前外地の書物流通(3)――

『JunCture 超域的日本文化研究』第7号、2016年3月28日、pp.58-67 本誌掲載の日比の著者紹介において、所属が一橋大学となっていますが、名古屋大学大学院文学研究科の間違いです。変わりありません。また、同じ紹介で「戦前外地の書物流通(1)」とある後ろに…

外地書店を追いかける(6) 台湾日日新報社の台湾書籍商組合攻撃

『文献継承』金沢文圃閣、第28号、2016年4月、pp.4-7 連載状態で書かせてもらっている「外地書店を追いかける」シリーズの6です。副題のとおり、台湾日日新報社が、台湾の書籍商組合を攻撃していた事件について、記述しております。マニアックですいません…

内地-外地を結ぶ書物のネットワークと朝鮮半島の小売書店──日配時代を中心に

『翰林日本學』第27輯、2015年12月、pp.31-50 全文は下記で読めます。 http://japan.hallym.ac.kr/index.php?mt=page&mp=4_7&mm=bookdb&oxid=1&cmd=view&id=1113&artpp=10&navinum=10&cpage=1&cid=5&orf=30要旨は以下のとおり: 本論文では、第二次世界大戦…

『跨境 日本語文学研究』第2号

『跨境 日本語文学研究』第2号(2015年6月30日)が出ています。私は今回以下を書きました。 論文「詩がスポーツをうたうとき―1932年のロサンゼルス・オリンピックの場合」pp.111-124 "Reading Sports Poems and Lyrics for the 10th Olympic Games of Los A…

越境する作家たち:寛容の想像力のパイオニア

『文學界』6月号(2015年6月1日)に「越境する作家たち:寛容の想像力のパイオニア」という評論を書きました。排外主義の言葉が勢いを持つ現代において、越境者たちの文学がどのような可能性を持つのか論じたものです。キーワードは「寛容」。リービ英雄、…

朝鮮半島における日本語書店の展開――戦前外地の書物流通(1)――

『跨境 日本語文学研究』、第1号、2014年6月、pp.205-219 [要旨] 朝鮮半島を中心に、書物流通の問題と小売書店の歴史を取り上げた。簡単に近代日本の書物流通を整理した上で、朝鮮書籍商組合の成立や、朝鮮半島に存在した日本語小売書店が、実際にどのよう…

外地書店とリテラシーのゆくえ――第二次大戦前の組合史・書店史から考える――

『日本文学』第62巻第1号、pp.44-56 [要旨] この論文では、戦前の外地における日本語のリテラシーを、第二次大戦前に外地へ出店した書店の分析をつうじて考察する。具体期には、外地書店の同業者組織である外地の書籍雑誌商組合の歴史、そして外地書店が生…

「浮雲」で笑う

『近代文学合同研究会論集』第9号、2012年12月、pp.76-93 [要旨]

現代日本のトランスナショナル文学論のために――シリン・ネザマフィ「サラム」と翻訳の表象――

『JunCture 超域的日本文化研究』第3号、2012年3月、pp.32-47 [要旨]

洋上の渡米花嫁――有島武郎「或る女のグリンプス」と日系アメリカ移民――

『有島武郎研究』第14号、2011年6月、pp.1-15 有島武郎研究会の雑誌に書かせていただきました。 要旨は発表のときのものと変わっていませんので、下記をご覧下さい。 http://d.hatena.ne.jp/hibi2007/20101201#seeall

日系アメリカ移民一世、その初期文学の世界

『移民研究年報』 17、2011年3月、pp.43-63 Exploring the First Stage of Japanese American Vernacular Literature, circa1900 [要旨]米国日系移民の日本語文学については、これまで翁久允の諸作品や俳句・短歌などの韻文を中心に研究が進められてきた。…

写実小説のジレンマ――島崎藤村とモデル問題

『名古屋大学文学部研究論集』57、2011年3月31日、pp.125-147 A Dilemma of Realism: SHIMAZAKI TOSON and "Model Problems" 藤村の「旧主人」から「新生」までの軌跡を追いながら、写実小説の登場と私的領域の描出との葛藤のさまを考察した。

境域から読めること――日系アメリカ移民の日本語文学――

『日本研究』高麗大学、第15集、2011年2月、pp.127-150 日系アメリカ移民の日本語文学の展開を略述し、とくに第二次大戦下の彼らの文学表現について、伊藤正の評論を検討しながら論じた。

プライヴァシーの誕生――三島由紀夫「宴のあと」と文学、法、ゴシップ週刊誌――

『思想』No.1030、2010年2月5日、pp.51-66 [要旨] 一九六〇年前後の日本社会において、文学、法、人々の〈私的な領域〉の三者がどのようなかたちで接しあっており、そこに「プライヴァシー」なるアメリカ法に起源をもつ新たな概念が導入されることによって、…

移民の想像力――渡米言説と文学テクストのビジョン――

『JunCture』第1号、2010年1月1日、pp.48-63 [要旨]

船の文学――『あめりか物語』「船室夜話」――

『文学』第10巻第2号,2009年3月,pp.41-49 「荷風没後五〇年 虚像から実像へ」という特集に寄稿したもの。