日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

無駄話

ミサイルが飛んで、新しい隣組の結成を祝おう

今日(29日)はアニメ・特撮脚本家で小説家の辻真先さんの講演を聞いた。いい講演だった。心から御礼を申し上げたい。講演の題を「ぼくは戦争の匂いを嗅いだ」とした辻さんの危機感は深いのだと思うが、語り口は温和かつなめらかで、まるで落語か講談を聞い…

昨年度はサバティカルだった件

昨年度はサバティカル(=大学の特別研修期間)だった。 諸事情(主に家庭方面)あって、勤務校での研修となった。そして勤務校には子どもの保育園があるので、結果、ほぼ毎日大学に行くことになった。春、私を見かけた同僚たちは、なぜサバティカルなのにい…

枝垂れ桜、春に向かう

毎年楽しみにしている、近所の枝垂れ桜。今はこれくらい。例年だと22日、23日ぐらいでこの桜は満開を迎えます。このあとの天候次第ですが、今年はこれと同じか、少し遅れるか、ですね。いずれにしても、これから一週間で、満開に向かって駆け上がります。 そ…

畝部俊也さんの思い出に

今日は、亡くなった同僚の畝部俊也さんを偲ぶ会があった。研究科の有志が集まって、食事をしながらいろいろな思い出話をした。畝部さんは48歳で亡くなったのだった。畝部さんとは、研究室が隣同士だった。音が、よく聞こえた。私の研究室のある建物の部屋は…

文科省的には教育勅語を活用してもいいらしい

文科省が予算委員会で、教育勅語を活用してもいいと答弁している。夫婦仲良くしなさい、とか、友だち同士信じ合いなさい、ということを教えるのに、教育勅語が必要なのか、と考えてみればわかる。それくらいのことなら、ちびまる子ちゃんをつかってだって教…

謹賀新年

あけましておめでとうございます。今年の目標: 健康と体力は大事だよ 粗製濫造せぬよう自戒 デジタル・ヒューマニティーズ関係の勉強をぼちぼち始めたい 書を捨てなくてもいいけど、街に出よう 久々に米国の日本文学系の学会に行きたい ところで、だんだん…

やる気のでない冬のあなた(私)に 2016

かなり前だが、「やる気のでない夏のあなたに - 日比嘉高研究室」という記事を書いたことがあります。 いま、超低空飛行のあなた(私)に2016年版をお送りします。 1.机を掃除しよう やる気がでないと、掃除をする気も起きないものですが、とりあえず積み…

キュレーションサイトの問題は、リサーチャーすべてが直面している問題じゃないのか

キュレーションサイトをめぐる一連の騒ぎをみていて、これって実はリサーチする人間のほとんど全員が直面している問題じゃないかなぁと思ったので、そのことについて少し書いてみます。なお、以下「キュレーション」という言葉をネガティブな文脈の中で使い…

マイナンバーを届出したくない件――民間利活用のロードマップを見てみよう

マイナンバー、「届出して下さい」というお願いを今年お仕事をした某所からいただきましたが、お断りしました。納税のズルを許さないとか、行政業務が効率化するとか、たしかにメリットもあるようです。が、マイナンバーの「利活用」ロードマップを見ると、…

あいちトリエンナーレに子連れて行って思ったこと

あいちトリエンナーレの愛知県美術館会場に行ってきました。子連れで楽しめる工作コーナー(ダミコ・ルームとかキャラバンファクトリー)があって、そこが今日のお目当てでした。無料でありました。簡単な工作を親子でできるところがあったり、ゲーム感覚で…

センター試験後継の新テストに「国語」の記述式問題を導入したときに起こる惨状

※ 最初に大事なお断りです。下記の記述は、現在公開されている情報と、中高・予備校・大学短大の試験現場についての知見を総合して、日比が予測的に書いたものです。個人の予測ですから、当然外れたり勘違いがありえます。また採点現場の事情について触れた…

中国調査出張から戻りました

帰国しました。写真は、哈爾浜(ハルビン)に向かう途中、早朝の長春駅です。 書きたいことは山のようにあるのですが、とりあえずメモ的に。 1.図書館 行く前からわかっていたことだが、中国東北部のめぼしい公立・大学図書館の旧満洲国関連資料は全面封鎖…

人生に、文学部を。

人生に、 文学部を。文学部を知らなければ、 こんなはずじゃなかった。 文学部を知ったおかげで、 どうやっても人生回り道だ(アニメ化?)読むとは妄想することである。 俺の不条理、私の弱さ。男も女も関係ねぇだろ。 妄想しなければ、実学系に進めるとで…

SNSのシェア/リツイート数と、実際の読者数の間に大きな差があるのを体感した話

この前ブログに書いた「ていうか18歳選挙権いらない そもそも民主主義いらない」に向き合う - 日比嘉高研究室の記事に対する反応を見ていて、あらためて思い知ったことがあるので、書いておきます。以下、いろいろ書いていますが、日比という特定色のある個…

「ていうか18歳選挙権いらない そもそも民主主義いらない」に向き合う

選挙終わりました。憲法改正が現実的な問題になってきました。この間、もやもや考えていたことを少し言語化しておきたいと思います。ここ最近、目に入った言葉で、心に残ったものに触れながら進めます。 「英国国民投票からは数多くのことを学べるだろう。こ…

亀井秀雄さんの訃報

仰ぎ見る方(かた)だった。著書や論文には、たくさんのことを教えられたと思っている。その質の高さ、視野の広さ、射程、厳しさ、どれも超一級だった。 ほとんど直接の接点はなかったけれど、唯一、私が2002年にUCLAに在外研究に行ったとき、わずか数日?滞…

さまざまな「日本」の発音~音はもともと、国も文字も超えていた

聞いてみて下さい。すごく面白いです。www.youtube.com蘇州とか、杭州の発音は、もう「じゃぱん」としか聞こえない。 そして客家語や福州の方言は、「にっぽん」にとても近い。私たちは言葉というものを、国を中心に考えてしまいがちです。中国の言葉、日本…

教育にお金を  「娘の除籍」毎日新聞2016年3月31日

つらい記事だ。 娘の除籍 東京都港区・匿名希望(会社員・55歳)毎日新聞2016年3月31日 東京朝刊 11万5000円の学納金を納めることができず、娘が大学を除籍になりました。 数年前、私は正社員として10年以上勤めた会社を、身内の介護のため辞めざ…

「鉄板イタリアン」と過ごす、ある昼休み

ときどき、「これ」が唐突に食べたくなるのである。1ヶ月ぐらい前から、あー食べたい、と思いながら日々過ごしてきたのだが、今日チャンスがあったので、「これ」を食べるならここと決まっていた、本山のBⅡに行こうとした。先週、この店には振られていたの…

あるお稽古の話

七年少し続けていたお稽古を、やめようかと考えていた。ひとつには仕事が忙しくなってしまったこと。時間を捻出しようと思えばできなくはないけれど、いまは月一回に減らしているその時間でさえ、惜しいと思う自分になっていた。もうひとつには、色々自分な…

インタビュー・記憶・《経験》: 利尻島に行った話2

インタビューという出会い やって来たとき、その利尻島の老人は一人の見知らぬ他人だった。2時間のインタビューを終え、一緒に昼食のうどんをすすったあと、その老人は離島で育ち、初年兵として戦場をくぐり、捕囚としてシベリアで過ごし、舞鶴に引き揚げ、…

利尻島に行った話

「冬休み」の町 研究チームの調査で、利尻島に来た。2月はじめ。厳冬期である。 研究チームの課題は「国境」を考えるというやつで、樺太引き揚げのおじいさんおばあさん(かつては小学生)のお話なんかを聞けて、おおおそんなことがありましたか、とすごく面…

謹賀新年

明けましておめでとうございます。Facebookを始めてから、日常の雑事をそちらの方に書くことが多くなり、その代わりブログの方には少しまとまった文章を書こう、と思っていました。が、やはりなかなかそれは難しいことですね。自分で更新のハードルを上げて…

無題、あるいは師走に大事なこと

いまから大事なことを言うよ。 【来 年 で き る こ と は 来 年 や る ん だ】 pic.twitter.com/rcYql2NV9q— 日比嘉高 (@yshibi) 2015, 12月 28

私はマイナンバー制度を拒否します

某件をお手伝いさせてもらっている仕事先から、「個人番号」提供のお願いがきました。拒否しました。 今に勤務先からも来るでしょうが、拒否します。 担当者の仕事をちょっとだけ増やすことになって恐縮ですが、従いません。 通知書も受け取っていません。私…

名古屋大学‬ にMega Kebabが

「近年増加しているムスリムの留学生の食生活支援を目的として、名古屋大学生協のご協力により、移動販売車によるハラールフードの提供を下記期間に試行的に行う」のだそうです。ムスリムの人たちだけでなく、それ以外の人にとってもうれしく、美味しい話で…

日韓国交正常化50周年

今年は日韓国交正常化50周年なのだそうです。皆さんご存じでしたでしょうか。私は恥ずかしながら知りませんでした。そして先週末訪れた韓国で、たまたまシンポジウムの関連行事で同席した日本の大使館関係者から、それを教えてもらい、心底びっくりしました…

そういえば日露戦争開戦直前に、「七博士建白事件」てのがあった

日露戦争の開始直前に、帝国大などの教授七人が開戦論を唱えて政府に意見書を出した「七博士建白事件」というのがあった。高校の日本史でも習う。今回の海外の著名日本研究者たちによる「日本の歴史家を支持する声明」は、これに匹敵すると思う。つまり後世…

長すぎた春休みを送る辞

先程、遅れていた某原稿を送信して、ようやく4月の終わりとともに怒濤のような数十日が終わろうとしており、思い起こせば三月の末、わたしの春休みは廃園だった的なことを書いたような記憶があるが、この2~4月は、博士論文を書いた年と同じぐらい、きつ…

春、ひるがえれ

とにかく、だな。 春休みは終わるが、春休みの宿題が終わらないんだ。 一日はあっという間に終わるが、 やりたかった一日の課題はぜんぜん終わらないんだ。学生よ、おれの部屋に来るな。 電話、鳴らなくていい。 メール? なんですかそれ。 保育園、やっぱお…

キーワードは「反知性主義」で、あってるんだろうか?

アマゾン・レビュー欄を炎上させる言葉 「反知性主義」がいまキーワードになっている。けれども、この言葉を安易な意味で使って、レッテル張りをすることって、有効なんだろうかと思う。この言葉を使うのは注意した方がいいし、より適切な言葉がある場面では…

まさか「殉愛」裁判で論文書こうとかいうんじゃなかろうな >自分

たった今知ったんですが、この小説、プライヴァシー裁判になっているんですね…わたし、「宴のあと」「名もなき道を」「石に泳ぐ魚」と論文を書き継いできた、自称〈小説とプライヴァシー〉研究家なんですが、やっぱりこれもケンキュウしないといけないんでし…

書店、ヘイト本、ストックとフロー

『現代思想』2月号の反知性主義特集掲載の福嶋聡さん「憎悪・排除・批判――闘技場としての書店」が面白く、考えさせられたのでメモしておく。 ヘイト本に書店(員)はどう向き合うか 福島さん(ジュンク堂難波店の店長さん)の文章は、ヘイト本に書店(員)が…

ブログを引っ越ししました

はてなダイアリーから、はてなブログに乗り換えました。 はてなダイアリーに強い不満があったわけではないのですが、SNSとの連携とか、小さな不具合とか、scriptが使えないことがあるとか、いろいろ蓄積して、ここしばらく引越を考えていました。 で、試しに…

著作権保護期間が70年に延長される方向らしい

著作権保護期間が70年に延長される方向だというニュースが流れている。文化的な自殺行為だということがわかっているんだろうか(怒) 著作権保護は原則70年で調整へ TPP 2月3日 4時15分 NHK News WebTPP=環太平洋パートナーシップ協定を巡って、交…

「過去を語り継ぐ」のは不十分な行為だ――宮崎信恵監督の講演会・上映会の感想

土曜日、宮崎信恵監督の講演会とハンセン病療養所のドキュメンタリー映画『風の舞』の上演会があったので、ちょっと感想を書いておく。これはNくんをはじめとした院生有志が主体のイベントだったのだが、すべてにおいて万端整っており、大したものだと改めて…

新年快楽

新年明けましておめでとうございます。 おみくじが嫌いです。人と神社へ行っても、たいてい私だけ引きません。しかしながら、現在の住居に移ってから行ける年には必ず除夜の鐘を突きに詣でており、そこで写真のような干支の人形がいただけるのであります。そ…

超訳「時代閉塞の現状」2014

石川啄木(1886-1912)は、1910年つまりおよそ100年前、24歳のときに「時代閉塞の現状」を書きました。大逆事件(明治天皇の暗殺企図のかどで、幸徳秋水らが秘密裡に処刑された事件)の直後のことでした。 わたしたち日本の青年は、いまだかつてあの政府の強…

人形を供養してきた

この前、家族の家を整理する必要があって、その手伝いに行って来た。女の子二人が育った家で、人形がたくさんあった。いくつかのどうしても棄てられないものを除いて、処分することになった。 人形は、棄てにくい。 というか、棄てられない。人形を少しでも…

追記 その「仕事」を解除せよ

前のエントリに対し、Facebookで大事なコメントを返していただいたので、それに対する私の応答を転載して、追記しておきます。個人名など、最小限の修正はしています。 (以下)「遊び」の意義を強調する私の考えに対して、「それはある程度の経済的保証がさ…

その「仕事」を解除せよ――遊びをせんとや生まれけむ

野球、相撲、地図 愚息トーゴ氏はもうすぐ3歳になる。手先も器用になり、走ったり跳んだりも活発。語彙や知識も増えていて、言葉も達者になってきた。そうすると、遊びの世界もぐんぐん広がってくる。最近のブームは、野球と相撲と地図である。新聞紙で制作…

「夏休みの宿題」がすでに終えられる気がしないのだが

さきほどからスケジュール帳とにらめっこしているのだが、どう考えても「夏休みの宿題」が終えられる気がしないのだが。。 まだ8月1日であるのに、この展望。 どうしてだ、自分。どうしたらいい、俺。どうしたらいいの、ボク。 今からやる。毎日やる。 仕事…

(ほぼ)復活

ご心配をおかけしたみなさま、恐縮でした。先週後半から仕事に復帰し、今日は大学院の授業に出たのですが、学生の皆さんやら先生方やらに、いろいろ声をかけていただいたりして、人情のあたたかみに触れたことでありました。感謝です。この暑いのに酒を飲む…

扁桃腺炎

扁桃腺炎で倒れている。簡単には終わらないようすである。 写真は先週末、近所の神社に、茅の輪くぐりに行ったときのもの。「無病息災」。まさか、こんな文脈で掲げることになろうとは。

「当事者」って誰?「現場」ってどこ?2

(「「当事者」って誰?「現場」ってどこ?1」よりつづく) 観察者/報告者の資格 観察者/報告者と、当事者、現場の問題を、もう少し具体的に考えてみたい。先の記事で私は、真の「現場」、真の「当事者」という考えは放棄した方がよい、観察者/報告者が…

「当事者」って誰?「現場」ってどこ?1

成田龍一さんの『〈歴史〉はいかに語られるか』 先日、大学院の授業で学生たちと議論していて、ちょっと思いついたことがあるので、メモしておきたい。「当事者」というのはいったい誰のことで、「現場」とはいったいどこのことなのだろう、というようなこと…

憲法が死んだ次の日に、あるいはポエム化社会とどう向き合うか

錯乱から目が覚めて 昨晩から憂悶にとりつかれて精神的にまいっており、思い乱れて深夜に呪文のごとき抗議文を唱えて首相官邸と内閣官房の意見箱に送信するという取り乱した行為におよんでしまったわけだが、原因ははっきりしている。理屈が通らない相手に、…

教室が「戦場」になった日?(2):産経新聞による広島大学の授業攻撃を読んで考えたこと

ここへ来てこの問題は 大学の学生だけの問題ではなく、私たちの社会一般の雰囲気の問題かもしれないと気づく。私の友人で、大手食品流通会社に勤めている人間がいる。彼が店長をやっていた時代に話してくれたエピソードを、私はよく覚えている。最近は、顧客…

教室が「戦場」になった日?(1):産経新聞による広島大学の授業攻撃を読んで考えたこと

この事件が報道されて 以来、ずっと気になっている。嫌な気分で、そして同時に正直に言って、怖いとも思った。その後いろいろネット上の言葉を見ていて、さらに怖いという気持ちは増した。けれど、これが2014年の日本の「教室」をめぐる状況なのだと思った。…

大学教員が論文指導によく使うハンドサイン一覧表

作ってみました。 実際の指導はイメージと異なります。