日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

内地/外地をまたぐ書籍流通史をめざして──転移・国策・ネットワーク (研究発表)

以下の研究報告を行います。

日本出版学会2017年度第4回(通算第102回)関西部会

日 時: 2017年10月21日(土)14時00分~16時00分
会 場: 奈良女子大学文学系S棟2階S227教室
        奈良県奈良市北魚屋西町

報告者: 日比嘉高名古屋大学大学院人文学研究科)
「内地/外地をまたぐ書籍流通史をめざして──転移・国策・ネットワーク──」

http://www.shuppan.jp/yotei/928-20171021.html

[要旨]
 今回の報告では、第二次世界大戦以前における内地外地をまたいだ書物の流通ネットワークの歴史を考える。外地向けの取次といえば、大阪屋号書店が著名だが、内地外地を結ぶ書物流通を担ったのは同店だけではない。流通網の形成と史的展開を駆け足でたどりつつ、今回はとりわけ1930年代~40年代にかけて観察される、書物流通の仕組みの他地域への〈転移〉の問題を考えたい。

第5回 東アジアと同時代日本語文学フォーラム 2017 ソウル大会

本年も開催です。第5回。

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第5回 東アジアと同時代日本語文学フォーラム 2017 ソウル大会
日程:2017年10月27日(金)~29日(日)
会場:高麗大学校(ソウル、27日)、東国大学校(ソウル28-29日)

特集テーマ:「言語圏とディアスポラ文学」
基調講演:フェイ・阮・クリーマン氏バイリンガル・ハイブリッド・テクスト」

関連する2つのシンポジウム、4つの関連パネルセッション、次世代フォーラム、自由パネル発表、自由個人発表があります。

詳細プログラムが公開されました。(10/12) → [こちらから]




詳細については、次の(1)から(3)のいずれかをご覧下さい。

(1)Facebookページ (情報の更新が早いです)
www.facebook.com


(2)高麗大学公式ページ (現在(10月10日)掲載されているプログラムは暫定版です。訂正更新します)
http://japan.kujc.kr/contents/bbs/bbs_content.html?bbs_cls_cd=002008002003&cid=17092813541173&bbs_type=B


(3)本ページでも順次告知いたします。

ETV特集「告白~満蒙開拓団の女たち~」がものすごかったから、本当に見て欲しい

8月の放送を見逃していたので、再放送を見た。
この夏のNHKの戦争関係のドキュメンタリは本当に名作揃いだった。「インパール作戦」のも「樺太引揚げ」のやつもすごかったが、私はこの「告白~満蒙開拓団の女たち~」が最高の作品だと思う。

見てない人は、ぜ っ た い に 見た方がいい。

www4.nhk.or.jp


一人の女性の告白をきっかけに、村の歴史に色んな人が向き合い始める。過酷な、そして口に出すのが憚られる歴史。女が、男が、息子が、証言を始める。資料が出て来る。つらい現実や事実が、てんこ盛りで出てくる。ここまでで充分すごい。引揚げ開拓団が作った、開拓団の中の性的「接待所」の歴史。

けど、一番この番組が凄かったのは、「戦後」も描いたことだと思う。番組は戦争を、終戦と引揚げで終わらせなかった。
「村のため」に犠牲を強いられた未婚の女性達が、おばあちゃんになるまで生きてきた70年を越える月日に、ちゃんと向き合った。

そのおばあちゃんたちの強さ。前向きさ。

歴史に向き合うってどういうことなんだろう。
人に言えないような「恥」を抱えて生きていくってどういうことなんだろう。
それを語るってどういうことなんだろう。
それを聞くとは、どういうことなんだろう。

この人たちは、ぜんぶ抱えて、でも前向きに生きてきた。きれいごとですまない歴史と人生を生きてきた。大半が穏やかになされる彼女たちの語りの奥にある壮絶な強さに、圧倒される。

「恥ずべき歴史」に向き合うことは、その人を強くするのだ、ということを、番組は教えてくれる。そしてネガティブな過去に向き合うことは、決してネガティブな行為ではなく、むしろそこから這い上がり、先へ進む、力強く、明るい(影を含んだとっても複雑な明るさだけれど)行為なのだということを、教えてくれる。

つらくて、悲しくて、苦しいけれど、しかし「人の強さ」のお裾分けがもらえるような、そんな番組だった。

オンデマンドとかで見られるようになるんだろうか。見逃した人は、本当にお薦めだからどうか見て下さい。
なお、見る時にはハンカチがいります。

お知らせ(研究報告)内地/外地をまたぐ書籍流通史をめざして――転移・国策・ネットワーク

以下の通り、日本出版学会関西部会での報告を予定しています。


日本出版学会2017年度第4回(通算第102回)関西部会のご案内
「内地/外地をまたぐ書籍流通史をめざして――転移・国策・ネットワーク」

日 時: 2017年10月21日(土)14時00分~16時00分
報告者: 日比嘉高名古屋大学大学院人文学研究科)
会 場: 奈良女子大学文学系S棟2階S227教室
        奈良県奈良市北魚屋西町
        http://www.nara-wu.ac.jp/nwu/intro/access/map/index.html

交 通:近鉄奈良駅(1番出口)から徒歩約5分
     (新幹線利用の場合は,近鉄京都駅(JR京都駅に隣接)から近鉄奈良駅まで特急約35分,急行45分)   
会 費:無料
   *会員でない方の参加も大歓迎です。当日直接お越しください。
共 催:奈良女子大学日本アジア言語文化学会 

関西部会担当:湯浅俊彦 
連絡先 立命館大学 〒603-8577 京都市北区等持院北町56-1 
    TEL: 075-466-3136 (研究室直通) FAX:075-465-8188(文学部事務室)


【開催概要】
 今回の報告では、第二次世界大戦以前における内地外地をまたいだ書物の流通ネットワークの歴史を考える。外地向けの取次といえば、大阪屋号書店が著名だが、内地外地を結ぶ書物流通を担ったのは同店だけではない。流通網の形成と史的展開を駆け足でたどりつつ、今回はとりわけ1930年代~40年代にかけて観察される、書物流通の仕組みの他地域への〈転移〉の問題を考えたい。


www.shuppan.jp

対談 post truth(ポストートゥルース)をめぐって(朝日カルチャーセンター)

小森陽一さんと、朝日カルチャーセンターで以下の対談(講座)を行いました。


対談 post truth(ポストートゥルース)をめぐって
分断社会を嘘が行くー「反知性主義」時代をどう生きるか

2017年 9/23土曜 18:00-20:00


政治で、ネットで、嘘がまかり通るPost-truthの時代において、どのように読み、書き、対話するのか。困難な時代をもたらした社会的な背景について概観しながら、「真実の後」の時代におけるリテラシーを考える。FacebookTwitterなどソーシャルメディアがもたらしたシェア文化、「反知性主義」という言葉も飛び交う反事実・反科学の趨勢、事実よりも感情や信条が力を持つ感情化社会、そして各々が島宇宙のような情報の壁に閉じこもる分断状況、こうした諸条件こそがpost-truthの世界を招き寄せた。偽ニュースとデマと身も蓋もない本音とがのし歩く時代を、したたかに生き抜く術をさぐる。(日比記)


≪対談 post‐ truthをめぐって≫ 全4講座

世界最大の英語辞典であるオックスフォード英語辞典は、2016年を象徴する「Word of the year(今年の単語)」に形容詞「post‐truth」を選びました。真実であるかどうかは重視されず、感情に訴えるような言い方ばかりが幅を利かせてしまう。そんな時代を指す言葉です。Post‐truthをキーワードに、米大統領選など、具体的な事象を通して現代社会を読み解きます。

詳細は以下から:

www.asahiculture.jp

[コメント]「どこまでが軍事 悩む大学」(朝日新聞)

コメントしました。『朝日新聞』ですが、9月3日東京本社版初版(3面)においてのみ、私のコメントがあります。
以下のウェブ版にもコメントは載っていません。

私の話はともかく、興味深い記事です。どうぞご一読を。


www.asahi.com

[書評]『反「大学改革」論 若手からの問題提起』

書評を書きました。下のURLで全文閲覧可能です。

藤本夕衣・古川雄嗣・渡邉浩一編『反「大学改革」論』ナカニシヤ出版
週刊読書人』2017年8月25日、3204号、4面掲載

  • 古川氏によるPDCA批判は必読
  • 改革批判より現場報告が多いが、類書と比較してそこが魅力
  • 教養/一般教育論も多い。いま大学論の一つのキモかと

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